安乗(あのり)神社(志摩市阿児町安乗)のご神体となった人形3体が1月2日、天下泰平、村中安全、大漁万作、五穀成就を祈り、「三番叟(さんばそう)の舞」の神事を行った。
国の重要無形民俗文化財の指定を受け、今も伝承される人形浄瑠璃「安乗人形芝居(安乗文楽)」の発端とも考えられている三番叟の舞は、能の「翁」をもととするめでたい正月や上棟式など最初の舞、または室町時代に広く世に信仰された「三社託宣」(伊勢神宮もしくは産土(うぶすな)神、春日大社、八幡社)の風俗舞・神舞だといわれている。
この日、安乗神社の前の「ニワの浜」に神座を設け太平洋に向かって舞い、その後同神社の裏手にある秋葉神社の社前で的矢湾に向かって舞う。海に囲まれた村の人たちが海と共に生活する上で大漁と安全を祈願する自然への畏敬の念を表した祭りとされる。
同地区の正月は、三番叟の舞から始まる。
志摩市立図書館(神明)で今月28日、「文楽レクチャーin志摩 文楽はじめの一歩」(文楽入門)の開催も予定。三重県文化会館と志摩市教育委員会が主催し、安乗人形芝居保存会が協力する。