ホタル舞い、静寂の闇夜、しんしんと降る雨、弥生時代から続く伊勢神宮内宮で6月17日、「月次祭(つきなみさい)」が執り行われた。
月次祭は、毎年6月と12月の15日~25日に伊勢神宮125社すべてで執り行われる祭典。10月15日~25日の「神嘗祭(かんなめさい)」と合わせて神宮の最も重要な祭りとして「三節祭(さんせつさい)」と呼ぶ。
月次祭は、外宮から始まり15日の22時と16日の2時の2回「由貴大御饌(ゆきのおおみけ)」と呼ぶアワビやタイなどが並ぶ豪華な食事を奉納、同12時に「幣帛(へいはく)」と呼ぶ皇室より送られた布などを奉納する「奉幣(ほうへい)の儀」が執り行われる。次に内宮でも同様に16日の22時と17日の2時の2度の「由貴大御饌祭」、同12時「奉幣の儀」が繰り返され、同25日までの期間にすべての神社で同様の祭典を執り行う。
17日の夜は雨。白い斎服を着た神官が和傘を差しながら暗闇の中からちょうちんと松明の明りだけを頼りに玉砂利をザクザクと音を立てながら歩いてくる姿が現れると、ホタルが驚いたように暗闇の中からゆらゆらと現れた。内宮正宮の石段下に設けられた御贄調舎(みにえちょうしゃ)でアワビを調理する儀式を行い、その後正宮、天照大神(あまてらすおおみかみ)の前で「由貴夕大御饌祭(ゆきのゆうべのおおみけさい)」が執り行われた。(2時からの祭典は「由貴朝大御饌祭(ゆきのあしたのおおみけさい)」と呼ぶ)
伊勢神宮では、雨の日も風の日も嵐の日もただ淡々と、神恩に感謝し国家の隆昌と国民の幸福、平和への祈りを続けている。