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伊勢の山頂で79歳のおばあちゃん大忙し、1年でもっともうれしい日-金剛證寺開山忌

伊勢・朝熊山山頂で79歳のおばあちゃん大忙し、1年でもっともうれしい日-金剛證寺開山忌

伊勢・朝熊山山頂で79歳のおばあちゃん大忙し、1年でもっともうれしい日-金剛證寺開山忌

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 伊勢志摩の最高峰・標高555メートルの朝熊(あさま)ヶ岳の山頂に立つ臨済宗南禅寺派の別格本山・朝熊岳金剛證寺(伊勢市朝熊町岳)で6月27日~29日、同寺を復興させた仏地禅師の命日を偲ぶ開山忌が開催されている。

塔婆が左右に並ぶ参道を抜けると奥の院がある朝熊山の開山忌

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 地元の人たちは、同山もしくは同寺を親しみを込めて「岳(たけ)さん」と呼び、身内が亡くなると「塔婆(とうば)・卒塔婆(そとば)」を立て同寺を参る「岳参り」を行なう風習が今も残る。しかしながら、近年は核家族化などが原因でその風習も廃れつつあるが、開山忌には毎年参拝者で賑わい、3日間で約2万人が山頂まで足を運ぶという(伊勢志摩スカイライン担当者)。

 1392年に建長寺(神奈川県鎌倉市)71世の仏地禅師が同寺を再興し、禅師の命日6月29日を偲び毎年3日間開催する開山忌。同寺の奥の院「呑海院(どんかいいん)」では、塔婆供養するための受付に行列ができ、人々はそれぞれの先祖の名前が書かれた塔婆の前に佇み深い祈りを捧げていた。

 奥の院境内に立つ茶店「富士見亭竹屋」(同)では79歳になったばかりの竹内民子さんが忙しく、名物の開山忌限定の「茶の子餅」(15個入り=700円、5個入り=300円)や「みそ田楽」(5本=300円)の販売で大忙し。竹内さんは、さらに山の上にある自宅から約30分掛け毎日歩いて(登山して)通う健脚の持ち主。

 奥の院には、一休禅師も訪れ、「海を呑む 茶の子の餅か 不二の雪」と詠んだ句が残る。一休禅師も食べたであろう「茶の子餅」は、100年以上続く同店の創業者が、抹茶を混ぜた餅に餡(あん)を入れ包んだもの。かつては毎日販売していたが、現在は参拝者の減少であえなく開山忌の期間だけの販売となっている。

 竹内さんは「開山忌になると、大勢の人がここまで来てくれて賑やかになる。最近は1年に1回この日にだけしか来れない人も多く、わざわざお店に顔を出して声を掛けてくれたり、『茶の子餅』や『みそ田楽』を買ってくれるのが何よりうれしい。今年、神宮さんから80歳の記念の杖をいただいたが、まだまだお店を開け続けたい」と元気に話す。

 塔婆の受付は毎日行なっている。同店の営業時間は9時~16時30分、友引の暦の日が定休。

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