鳥羽市の離島「答志島」を舞台に展開するNHK BSプレミアムドラマ「ヤアになる日 鳥羽・答志島パラダイス」の完成試写会が9月4日、同ドラマの制作を担当したNHK津放送局(津市丸の内)の会議室で行われた。
「TSJ(ティーエスジェイ)48」のメンバー3人が着ている衣装はサンマの袋
同ドラマは、答志島出身の青年・鳴海久志と久志の恋人・山岡紗智子の結婚までの心の葛藤を描き、島に伝わる「寝屋子(ねやこ)制度」(鳥羽市無形民族文化財)や「夫婦船」など島独特の風習を通して地域と人とのつながりを浮き彫りにする。久志が「島に戻って漁師になる」と紗智子に告げるところから物語が展開。漁師の嫁「ヤア」になるまでの紗智子の揺れ動く心の変化を描く。
鳴海久志役に映画「スウィングガールズ」で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞、大河ドラマ「龍馬伝」にも出演する俳優の平岡祐太さん、山岡紗智子役にNHK連続テレビ小説「ウェルかめ」の主役を演じた女優の倉科カナさんほか、近藤正臣さん、五十嵐めぐみさん、阿部亮平さん、白石美帆さん、臼田あさ美さんらが島民を演じる。地元鳥羽市出身の鳥羽一郎さんも「伝説の漁師」として出演する。脚本=戸田山雅司さん、制作統括=国沢五月さん(NHK津)と土屋勝裕さん(NHK名古屋)、演出・監督=東山充裕さん(同)。音楽の担当には、地元三重県明和町出身で子どものころよく答志島で遊んだというドラマ「JIN-仁」や映画「桜田門外ノ変」の長岡成貢さんが抜てきされた。
撮影は、今年6月24日~7月9日の期間で、答志島をメーンに、「ホテル アルティア鳥羽」(鳥羽市安楽島町)、「二見シーパラダイス」や「興玉神社」(伊勢市二見町)、「おかげ横丁」や「赤福本店」(伊勢市宇治中之切町)などで行われた。
試写会には、サンマを入れるカラフルな袋を再利用し衣装にしてドラマに出演した「TSJ48(答志島48)」のメンバー3人もスペシャルゲストとして劇中の衣装姿で登場。メード服で踊るシーンやドラマで少しだけ登場するかかしに隠された実話など撮影中のエピソードを披露。東山監督は「ほとんどのシーンが実話に基づいたもの。特にTSJ48で踊るおばちゃんたちの演出はデフォルメする必要がなく、むしろ抑えて演出しなければ放送コードに引っかかるところだった(笑)」と打ち明ける。
東山監督は「これまでのドラマは地方を舞台にしていても、制作は東京スタッフだったりしていたため地域の思いが描ききれない部分が多かったが、このドラマはNHK初の試みとして地方で制作し全国で放送する『地域発のドラマ』。三重・答志島の思いを全国に発信する。島を愛する総勢250人の人々が協力し、音楽には地元に熱い思いを込める長岡さんが関わった。地域発のドラマが成功するには、地域のことを愛する人がどれだけたくさん関わるかだと思う」と力を込める。「答志島には『絆』という言葉がないほど当たり前だということに気づかされる。真の絆が問われる時代だからこそ、あらためて日本という島に暮らす人々の『心』『家族の幸せ』を考えるきっかけになれば」とも。
放送は、9月30日のみの1話完結。NHK BSプレミアム「プレミアムドラマ」(毎週日曜、22時~22時58分)の枠で放送される。再放送は10月7日、12時~12時58分を予定。