「ジャマモク」と異名を持つ海藻の「アカモク」を活用しようと志摩市商工会(志摩市阿児町)が新事業に取り組んでいる。
アカモクは、ヒバマタ目ホンダワラ科に属する海藻で、ワカメやアラメ、コンブと同じ褐藻類。生命力が強く最大で7メートルに成長する一年藻。秋田や山形、新潟では食用に採取されているが伊勢志摩地域では食用とされず、「流れ藻」として刺し網や船のスクリューなどに絡み付き被害を与えることから「ジャマモク」「ダメモ」などと呼ばれ海の厄介者として扱われていた。
しかしながら近年、アカモクの研究が進み、カルシウムはコンブやワカメの1.2倍、鉄分はワカメの5.2倍、カリウムはワカメやヒジキの1.6倍とミネラルが豊富で、光合成によって植物に含まれる色素や苦味のもととなるポリフェノールや植物繊維の一種で抗血作用凝固作用活性、コレステロール低下作用、抗腫瘍効果があることで知られるフコイダン、カルシウムが骨から溶け出すのを抑制する効果のあるビタミンKなど機能性成分が多く含まれることがわかってきた。そのため、アカモクを水産資源として活用しようと全国各地でさまざまな取り組みが行われている。
同商工会では今年6月、地域力活用∞(無限大)新事業全国展開プロジェクト「志摩の里海・完熟天然あかもく」三方よし型特産品開発事業をスタートさせた。7月に第1回の作業部会を立ち上げ、粉末や冷凍のアカモクの活用方法、成分について研究、試食会などを実施。
10月15日には、同23日・24日に東京ビッグサイトで開かれる「2012地方銀行フードセレクション」に出品する4品(アカモクをつなぎ代わりに使用したハンバーグ、アカモクの粉末を使ったロールケーキ、刻んなアカモクをゼリーと重ね合わせたプリン、粉末をカマボコに混ぜ麺状にしたものにアカモクを刻んでとろろ状にし掛けて食べる商品)の試食会を開いた。
同商工会事務局を担当する石野雅彦さんは「これまで邪魔者扱いされていたアカモクがお金になり、食べられ、さらに機能性食品として注目されれば。この事業を通して、伊勢志摩地域でもアカモクがたくさんの人に認知され食べられるようになれば」と期待を込める。