国産のカヤ100%で作る新しい伊勢神宮-式年遷宮の造営作業、初公開

国産のカヤ100%で作る新しい伊勢神宮-式年遷宮の造営作業、初公開

国産のカヤ100%で作る新しい伊勢神宮-式年遷宮の造営作業、初公開

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 20年ごとに新しく社殿などを造り替える「式年遷宮」を来年の2013年秋に控え造営作業が進む伊勢神宮の外宮(げくう)で11月15日、「外玉垣南御門(とのたまがきみなみごもん)」の屋根にカヤをふく作業が報道関係者に初めて公開された。

伊勢神宮外宮のかやぶき作業

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 公開されたのは現在、新御敷地(しんみしきち)に造営中の外玉垣南御門の屋根のかやぶき作業で、素屋根で覆われ足場が組まれているため普段、一般の目に触れることはない。「萱葺(かやぶき)工」と呼ぶ7人の作業員がカヤの束を持ち上げ手作業で並べ、たたいたりしながら整えた後、大きなはさみで「荒刈(あらがり)」という刈り込みを行い、凹凸がないように確認しながら作業をしていた。外玉垣南御門の大きさは、幅約7.5メートル、高さ約6メートル、奥行き約4メートル、約600束のカヤを使う。

 現在の作業は約60%の出来で、この後仕上げ作業の「清刈(きよがり)」が行われ、伊勢神宮独特の流線型のかやぶき屋根が今月中に完成する。若手職人は「くぼみができると雨が降った際にそこに雨が(集中的に)流れ込むため、カヤが乾きにくく朽ちやすくなり耐久性にかけるので慎重に作業を行わなければならない」と説明する。

 福島県郡山市出身のベテラン職人の二瓶誠一さんは81歳ながらハツラツと作業をしている。二瓶さんは「今回で3回目の式年遷宮造営作業に携わることができて誇りに思う。自分の技術を伝えることができれば」と話す。今年初めて作業に参加する若手職人も「20年に一度の式年遷宮は技術を伝承するのに素晴らしい機会。全国からかやぶき職人が集まるため、情報交換や親睦を深められることも喜びの一つ」と打ち明ける。

 神宮式年造営庁造営部造営課長の宇津野金彦さんは「萱葺工には今回で(遷宮造営作業が)3回目のベテラン職人、次のご遷宮を担う2回目の中堅職人、今回初めて参加する若手職人の3世代の職人たちにより班分けし、『宮づくり』と『人づくり』を同時に行っている」と話す。

 神宮の主な殿社・御門は「神明造(しんめいづくり)」で、屋根は「切り妻造」のかやぶき。かやぶき屋根の建物は、内宮(ないくう)、外宮ともに9棟(計18棟)と別宮14棟の計32棟あり、今年5月の「檐付祭(のきつけさい)」から内宮・外宮の正殿のかやぶき作業がスタートした。正殿などの作業は既に終了しており、外玉垣南御門の作業が終わると、今度は鳥居や垣を造り、来年5月ごろに全ての作業を終える予定。

 32棟の屋根をふくのに必要なカヤは、約2万3000束(1束は直径約40センチ、長さ約2.3メートル)で、全て神宮所有の99ヘクタールある「川口御萱地(かわぐちおんかやち)」(度会郡度会町川口)から採取した純国産100%。2005年から約7年間、毎年冬の時期に3000~3500束を採取し備蓄してきたもの。

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