伊勢神宮式年遷宮に合わせ伊勢志摩地域活性化の起爆剤として近畿日本鉄道(大阪市天王寺区、以下近鉄)が2009(平成21)年から開発を進めてきた新型観光特急「しまかぜ」のデビューまで、あと14日となった。メディア向け試乗会が3月7日、大阪難波駅・近鉄名古屋駅~賢島駅(志摩市阿児町)間でそれぞれ実施された。
1シート当たり開発費に100万円が掛かったという新型観光特急「しまかぜ」のシート
3月21日のデビューを待つ「しまかぜ」は6両編成で、大阪難波駅~賢島駅間を約2時間20分、近鉄名古屋駅~賢島駅間を約2時間で結び、それぞれ1日1往復する(水曜日を除く)。
近鉄初のブルーを基調としたカラーリングで、志摩に吹く爽やかな風をイメージ。1・6号車には6枚のガラスでシャープな多面体フェースデザインを採用、床を72センチ高くしたハイデッカー構造の先頭車両はフロントビューが楽しめる展望車両となっている。
「しまかぜ」の開発を手掛けた同社鉄道事業本部企画統括部技術管理部の山田隆史課長は「最もエネルギーを注いだのは1・2・5・6車両の112の客席。3列配置の本革プレミアムシートで、シート前後の間隔に私鉄最大となる125センチを確保した。ふくらはぎを支えるレッグレストや背もたれは電動、腰部にはエアークッションを付けマッサージ機能も充実させた。長時間快適に座れるシートを作るために人間工学も学んで、飛行機のファーストクラスのシートや家具店のいすなどに実際に座ってみた。1シート当たり開発費に約100万円を費やした。マッサージチェア大手のファミリー(大阪市淀川区)との開発により出来上がった自信作」と説明する。
同社名古屋事務所の伊藤泰幸さんは「客の要望に応えられるように研修を重ねてきた専属のアテンダント(接客係)が6~7人同乗し、車内販売やカフェでのサービス、おしぼりの配布などきめ細かなおもてなしをする。伊勢神宮・式年遷宮の歴史や伊勢志摩の観光スポット、おすすめ情報などのガイドもスムーズにできるように教育した」と話す。
車内では、伊勢角屋麦酒(伊勢市神久)が製造する地ビール「神都麦酒(しんとびーる)」(500円)や地サイダー「エスサイダー」(350円)、赤福(伊勢市宇治中之切町)の赤福餅2個入りの銘々箱(220円)、志摩観光ホテル(志摩市阿児町)のオリジナルアイスクリーム(400円)、志摩の人気菓子店「お菓子職人おとべ」(同)の米粉リアスクーヘン(500円)など伊勢志摩ならではの人気商品も取り揃える。
運賃・特急料金は、大阪難波駅~賢島駅間片道4,810円、近鉄名古屋駅~賢島駅間片道4,480円。和風・洋風個室利用の場合は、別途1室1,000円がかかる。