伊勢神宮の専属農園「神宮御園(みその)」(伊勢市二見町溝口)で春分の日の3月20日、1年の豊作を祈る「御園祭」が執り行われた。
神様に奉納する神饌(しんせん)の中の野菜や果物を作る御園で毎年春分の日に行われる同祭。畑の中に設けられた祭場で、神職が祝詞を上げた後、同園の責任者でもある作長の山口剛さんが、畑に向かって忌鍬(ゆぐわ)と呼ばれるクワを左、右、中央に3回振り下ろし、農作物の豊かな実りと麗しい出来栄え、農業従事者の耕作の安全を祈願した。鷹司尚武大宮司や鈴木健一伊勢市長ほか関係者約20人が参列し、祭典を見守った。
御園は、広さ1万9751平方メートル、神宮司庁調度部御料地課の職員らが、ダイコン、ニンジン、ゴボウ、ナス、トマトなど約30種類の野菜と、カキ、ナシ、メロン、ブドウ、イチゴ、モモなど約20種類の果物、計50種類以上を栽培する。収穫物は、毎日朝夕欠かさず2回執り行う「日別朝夕大御饌祭(ひごとあさゆうおおみけさい)」など伊勢神宮の祭典に神饌として供える。
山口さんは「神饌を載せる祭器(皿)のサイズは約12センチと昔のままなので、それに載せるためにサイズを小さく作るように、品種を選んだり栽培方法を調整したりしている。特にダイコンは3本を1束にするので細くなる品種を選んでいる」と話す。
「神嘗祭などの大きなお祭りには使用しないが、毎日の祭典『日別朝夕大御饌祭 』にはブロッコリーなども奉納する」と関係者はいう。