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「ゲノム育種米」のコシヒカリ、志摩で早くも稲刈り-盆前の需要に間に合うように

「ゲノム育種米」のコシヒカリ、志摩で早くも稲刈り-盆前の需要に間に合うように

「ゲノム育種米」のコシヒカリ、志摩で早くも稲刈り-盆前の需要に間に合うように

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 「ゲノム育種米」のコシヒカリの稲刈りが7月28日から、農業40年の実績を持つ岡野幸吉さんの志摩市浜島町迫子の田んぼで行われている。広域伊勢志摩圏内では最も早い稲刈りだ。

「ゲノム育種米」のコシヒカリをコンバインで刈り取る岡野幸吉さん

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 約25アールの田んぼに黄色くなって穂を垂れたコシヒカリを岡野さんが自走するコンバインで刈り取った。

 刈り取ったコメは、葉の一部を切り取ってイネゲノム(遺伝子)を解析し開花期の早い品種を選抜していく育種法「ゲノム育種法」で作ったコシヒカリ。開花期を早めた早生(わせ)品種で、もともと北海道や青森県での栽培を想定し、開花期が8月前後で寒くなる前に収穫できるように植物ゲノムセンター(茨城県つくば市)が研究・開発した 「コシヒカリつくばHD1号」だ。同センターの美濃部侑三社長によると「通常のコシヒカリよりも開花期が2週間早く、食味も良い」と説明する。

 これまでの育種法では、コメができてから目的に合う品種同士を交配させるのに半年~1年、新品種が完成し固定化するまでに10年以上の月日が掛かっていた。「キヌヒカリ」は1975年から研究され1989年に品種登録、約15年掛かっている。ゲノム育種法とは、病気に強い遺伝子、収量の多い遺伝子などを特定し、その特性のある遺伝子を持つ品種と、味の良い品種などを交配させ選抜していく育種法。温室などで育てた苗の葉から遺伝子を解析し特定するため、年に3回の交配で選抜できるので開発スピードが約3倍になるメリットがある。また別の植物や菌などの遺伝子で置き換える「遺伝子組換え植物」ではないため安全面でも注目されている。

 志摩地方では初盆を迎える家に新米を供える風習があり、「盆前に新米が欲しい」という需要がある。その需要に応えるため岡野さんは、これまで早生品種の「ほほほの穂」を育てていたが、それでも8月10日~13日の収穫・出荷作業でギリギリ。「コシヒカリつくばHD1号なら早く収穫できる」と考え昨年から栽培に取り組んでいる。

 岡野さんは「昨年は種蒔きが早過ぎたためあまり収量がなかったが、今年は2月28日に種蒔き、3月27日に田植えを行い、順調良く育ち収穫できた。まだまだ試行錯誤の繰り返しだが、お盆の前に新米が欲しいというお客さんがいるのでその願いに応えたい一心」と話す。「JAを通さず直接コメの販売を始めて10年になるが、毎年購入してくれるリピーターも年々増えている。コシヒカリつくばHD1号で少しでも早くお客様の元に届けることができるようになれば」と期待を込める。

 販売価格は5キロ=2,000円、10キロ=4,000円。問い合わせは090-8334-9879まで。

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