20年に一度社殿や神宝などを新しくする式年遷宮が進められている伊勢神宮で内宮(ないくう)と外宮(げくう)の新しく完成したばかりの正殿が9月4日、メディア関係者に初公開された。式年遷宮のクライマックス「遷御(せんぎょ)」までいよいよ1カ月を切った。
両宮の正殿が立つ新御敷地(みしきち)に白石を奉献する「お白石持行事」が7月26日~8月12日と8月17日~9月1日の期間で行われ、伊勢市民約15万3000人と特別神領民ら約7万3000人、延べ約22万6000人(内宮12万7000人、外宮9万9000人)が参加した。
お白石持行事で白いハンカチに1個1個を包んで大切に持ち運び収めた22万6000人分の白石がきれいに敷き詰められ、清石(きよいし)とよばれる黒い石とのコントラストを際立たせていた。古来より出雲大社の大社造りとともに、日本最古の建築様式を伝えた切妻平入りの高床式で、素木(しらき)のヒノキを使い、かやぶきの屋根、掘立柱、屋根の両端の千木(ちぎ)と屋根にのる金で装飾された鰹木(かつおぎ)が特徴の正殿は、敷き詰められた白石の中央に堂々としながらもつつましく立っていた。
この日は台風17号の影響を受け、神宮上空にも雨雲と積乱雲が通り過ぎていた。新御敷地では、時折降る雨にぬれて艶を出す石英の白石が美しく輝いていた。
神様が本殿から新殿へと遷(うつ)る「遷御」は、内宮で10月2日、外宮で同月5日にそれぞれ執り行われる。遷御が執り行われるまでには、新殿に御扉を取り付ける「御戸祭(みとさい)」(内宮9月13日、外宮15日)、御神体の鎮まる「 御船代(みふなしろ)」を殿内に奉納する「御船代奉納式」(内宮9月17日、外宮19日)、正殿内を洗い清める「洗清(あらいきよめ)」(内宮9月24日、外宮26日)、心御柱(しんのみはしら)を奉建する「心御柱奉建」(内宮9月25日、外宮27日)、御敷地である大宮地(おおみやどころ)を突き固める「杵築祭(こつきさい)」(内宮9月28日、外宮29日)、大宮地の平安を祈る「後鎮祭(ごちんさい)」、御装束神宝の式目を新宮の四丈殿(よじょうでん)で読み合わせる「御装束神宝読合(とくごう)」、神宮祭主以下の奉仕員をはらい清める「川原大祓(おおはらい)」(以上、内宮10月1日、外宮4日)の祭典がある。
さらに、遷御当日に正殿内を装飾して準備を行う「御飾(おかざり)」(内宮10月2日、外宮5日)、遷御翌日の早朝、新殿において初めて大御神(おおみかみ)に大御饌(おおみけ)をまつる「大御饌」、天皇陛下からまつられる幣帛(へいはく)を奉納する「奉幣(ほうへい)」、古殿内の御神宝類を新殿の西宝殿に移す儀式「古物渡(こもつわたし)」、御神楽(みかぐら)を行うに先立ち大御饌を奉納する「御神楽御饌」、神宮に宮中の楽師を差し遣わされ御神楽および秘曲を奉納「御神楽」(以上内宮10月3日、外宮6日)と、休む間もなく祭典が順次執り行われる。