11弦ギターの第一人者・辻幹雄さんの演奏会が12月22日、修養団(しゅうようだん)伊勢青少年研修センター(伊勢市宇治今在家町)で行われた。主催は伊勢いなほの会(同)。
11弦ギターは、6弦ギターに番外弦として、さらに5本の弦を加えたもの。ルネサンス~バロック期に、ヨーロッパの古楽器「リュート」で書かれた曲をできるだけ忠実に演奏できるように40年ほど前にスウェーデンの故ゲオルグ・ボリーン(Georg Bolin)さんによって作られた。
秋田県出身で現在船橋市在住の辻さんは、1983年に11弦ギターと初めて出会い独学で演奏をマスター、1991年にニューヨーク・カーネギーホールでオリジナル曲によるリサイタルを行った。ボリーンさんが亡くなる1年前の1992年にノーベル賞の授賞式を行うストックホルム・コンサートホールで演奏を行った時、ボリーンさんから「あなたの奏法は素晴らしいからスウェーデンの人はもちろん、世界の人々にその奏法を伝えてほしいと言われたことが最高の栄誉」と打ち明ける。
辻さんはそのボリーンさんの遺志を継ぐために現在も活動を続け、国内はもとより世界中で11弦ギターの魅力を伝えるための演奏会を繰り返している。1996年に伊勢神宮への奉納演奏をきっかけに、同センターでの演奏会を続け今回で18回目を迎えた。「MuSuBi」「祈り」「妖精のクリスマス」「木もれ日の中で」「ALBORADA(夜明け)」などのオリジナル曲8曲を演奏した。
「1996年に奉納演奏のご縁を頂き、さらにその後もこうして呼んでいただけることにただただ感謝。そのご縁のおかげで今がある。11弦ギターの演奏を通して人と人とのつながりを大切にしていきたい」と話す。
伊勢いなほの会(会長=中山緑さん)は1998年から活動を開始。同センターの支援や同センターを卒業した人の受け皿的な役割を担ったり、チャリティーバザーや伊勢神宮参拝者を受け入れるボランティア活動などを行ったりしている。会員数は104人。