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日本で2例目の「津波救命艇」の避難訓練-志摩市の介護施設で

日本で2例目の「津波救命艇」の避難訓練-志摩市の介護施設で

日本で2例目の「津波救命艇」の避難訓練-志摩市の介護施設で

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 日本で2例目になるIHI(東京都江東区)製の「津波救命艇」を設置した「浜島地域密着型ケアセンター・シルバーケア豊壽園」(志摩市浜島町南張)で4月25日、地震発生後の津波を想定した避難訓練が行われた。

日本で2例目の「津波救命艇」の避難訓練-一連の様子

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 温暖な気候を生かして作る「南張(なんばり)メロン」の産地でもある浜島町南張地区(住民306人、2014年3月末現在)に、認知症対応型グループホーム(定員9人)と小規模多機能型居住介護施設(定員25人)を合わせた施設として2008年に完成。一方、海抜5メートル、海岸までの距離約360メートル、施設を囲むようにして湯夫川(ゆぶがわ)が流れる立地であるため津波などの水害の心配が懸念されていた。浜島町立南張小学校跡。運営は社会福祉法人洗心福祉会(津市)。

 津波救命艇は施設玄関から約35メートルの屋外に設置。25人乗りで、ホールド型ヘッドレストが付くシート、個室トイレ、7日分の水、食料、医薬品、通信装置などを搭載。時速36キロの衝撃、FRPによる二重構造、180度の転覆でも元に戻る復元力などが国土交通省四国運輸局が策定した「津波救命艇ガイドライン」をクリアする。

 今年3月13日に設置完了した後、3月25日に1回目の避難訓練を行い今回は2回目(これまで同施設では2カ月に1回火災訓練などを中心に行ってきたが、津波を想定した訓練は津波救命艇導入から初めて)。今回は、東海・東南海・南海地震が同時に発生した場合、最大で18メートルの高さの津波が約22分後に、1メートルの津波が13分後に到達すると想定されているデータを基に避難訓練を実施。施設の裏山にある距離約250メートル、海抜約23メートルの一時避難所となっている「徳林寺」(同)まで車いすを使って逃げる8人と歩いて津波救命艇まで逃げる8人が10分間でどこまで逃げることができるかを検証した。

 1回目では11人が約13分で、2回目は約8分で津波救命艇に逃げることができた。同施設施設長の本居政紀さんは「訓練を繰り返すことで防災意識を高め、その度ごとで起こる問題点を解消し、できるだけスムーズに避難できるようにしていきたい。震災が発生した時の状況によるが、基本的には徳林寺へ逃げることを大前提として、最後の手段として津波救命艇に避難することが現実的。さらに有識者の意見を聞き、よりベストな避難を目指していきたい」と話す。

 志摩市役所総務部地域防災室の室長兼危機管理監の原口吉弘さんは「この地域は特に津波浸水予測の浸水深が深いので、市でも避難所をどこに設置すればいいか議論を重ねているところ」と説明する。

 本居さんは「自分は市内の3カ所の施設を担当しているので地震発生時にここにいるかどうかの保証がない。職員全員が迅速な行動を取り利用者を安全に避難させられるようにさらに避難訓練を重ねていきたい」とも。

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