今年4月19日に移転し新しくなったばかりの「三重県立博物館(MieMuみえむ)」(津市一身田)で5月24日~6月22日、三重県いなべ市出身の写真家・南川三治郎さんの写真展「日本の心 第62回神宮式年遷宮写真展」が開催されている。
開館記念企画展として今年度6回を予定する同館。同展はその第2弾となるもの。第1弾は同館が所蔵する資料などを紹介する所蔵展、第3弾以降はミエゾウ、熊野、結婚式、親鸞などを紹介する。
南川さんは、20世紀美術を代表するジョアン・ミロやマルク・シャガール、ジョルジュ・デ・キリコ、サルバドール・ダリなどの芸術家たちのアトリエで撮影した「アトリエの巨匠たち」を発表。1998年からユネスコ世界遺産「ヴェルサイユ宮殿」の撮影をフランス人以外の外国人として初めて許可されたカメラマン。2006年から第62回神宮式年遷宮の撮影・取材のため伊勢神宮に何度も通い、「8年間で東京から伊勢まで200回以上、新幹線には往復400回以上乗車している(笑)」と振り返る(南川さん)。
同展では、2006年から撮り続けた伊勢神宮や式年遷宮に関連する写真80点を、この展覧会のために特別に手すきですいた伊勢和紙にプリントし展示。もっとも大きい作品(1240×2480ミリ)は、昨年6月16日の月次祭(つきなみさい)で黒田清子さんが臨時祭主を務め奉幣の儀の参進の様子や二見興玉神社(伊勢市二見町)夫婦岩から上がる日の出を撮影したものなど。
そのほか、昨年10月2日に内宮(ないくう)、同5日に外宮(げくう)で執り行われた「神様の引っ越し」に当たる遷宮行事のクライマックス「遷御(せんぎょ)の儀」をとらえた作品。浄暗(じょうあん)の中でゆらゆらと揺れながら絹垣(きんがい)に包まれた神様がゆっくりと遷(うつ)る姿を表現している。
南川さんは「内宮の遷御の儀、神様が新宮に遷る渡御(とぎょ)の時に青白い光を見た。その後温かい風を肌に感じ、これが神風なのか?と不思議な体験をした。我々の心のふるさとが伊勢神宮にはある。2000年以上、日本独自の文化が色づき根付いている」と話す。「すでにドイツ、ローマ、アメリカ(ロス、ニューヨーク)などでの個展も決定している。神宮を世界の人にもっと見て感じてもらいたい」とも。
同25日(13時30分~15時30分)には、南川さんによる記念講演会も開催される。
企画展の観覧料は一般=600円、大学生=360円、常設展示とのセット券は一般=880円、大学生=520円、高校生以下は無料。開館時間は9時~19時。月曜休館。