真珠筏(いかだ)浮かぶ英虞湾に落ちる夕日が美しい季節になってきた。現在、ともやま公園(志摩市大王町)の桐垣展望台から見る夕日がちょうど英虞湾の湾口の間に落ちるため、その景色をカメラに収めようと晴れた日の夕方には、大勢のカメラマンが詰めかけている。
英虞湾は真珠養殖発祥の地。御木本幸吉翁は1893(明治26)年7月11日(当時35歳)に鳥羽の相島(現在のミキモト真珠島)で行っていた真珠養殖実験で半円真珠を完成させた(真円真珠の完成は1905(明治38)年1月)。その年の10月に当時無人島だった英虞湾の多徳島に真珠養殖工場を創設し、本格的な真珠養殖に乗り出した。真珠養殖の成功と共に一気に英虞湾に真珠産業が沸き起こり、アコヤ貝をつるすための筏やビン玉が海水面に浮かぶようになり、そして風景となっていった。
リアス海岸でもある英虞湾には大小50余りの島が点在する。伊勢志摩経済新聞のカメラマン泊正徳さんによると「最も美しいのは、浜島町と志摩町の湾口に落ちる夕日」と断言する。「ちょうど今、間崎島の赤い灯台と夕日が重なるので望遠レンズを使ってアップで撮るとか、広角レンズで英虞湾全体が赤く染まる景色を撮るなどいろいろと楽しめる。天気のいい日は空が赤く染まらないかと夕方になるとワクワクする毎日を送っている」と話す。同地からの夕景は昨年公開された映画「校歌の卒業式」(監督=宇井孝司さん)のクライマックスシーンにも登場する。
泊さんによると、橋に沈む夕日が大きく撮影できる「賢島大橋」(阿児町)、ともやま公園とは別の角度から撮影できる「立神・慕情が丘」(同)、手前に浮かぶ雀島(すずめじま)に太平洋と熊野灘の稜線(りょうせん)が美しい「あづり浜」(志摩町)などからの夕景スポットがおすすめという。
泊さんがおすすめする夕景ポイントの見頃は、以下の通り。「ともやま公園」は9月25日(日没時刻17時46分)~10月15日(同17時19分)と2月25日(同17時44分)~3月15日(同17時59分)、「賢島大橋」11月1日(17時00分)~11月30日(同16時43分)1月10日(同17時00分)~2月10日(同17時30分)、「立神・慕情が丘」は11月15日(同16時49分)~11月25日(同16時44分)、1月15日(同17時05分)~1月25日(同17時14分)、「あづり浜」11月20日(同16時46分)~1月31日(同17時21分)。
なお、上記の見頃期間については伊勢志摩経済新聞スタッフの主観が入った好みの場所からの時間を計算して表記した。実際に現地に行く場合は、事前確認を。