元旦に、日本の最高峰「富士山」と水平線からの「初日の出」を同時に見ることができる広域伊勢志摩圏内にある絶景スポットを紹介する。
天気が良ければ海抜0メートル地点からは「浮き富士」が見ることができるかも
直線距離で約200キロある富士山は、伊勢志摩からはそう簡単には見ることができない。雲のない冬の晴天の早朝が観測には好条件。冬の寒い朝、水平線から出る朝日はだるまや焼いた餅が膨らんだような形に変化する。その後、「元旦」の「旦」の時に一瞬変わって、大きなまん丸の太陽になる。水平線・地平線を表す「一」から太陽「日」が出る様子を表した文字そのものに、太陽の形が変化するのだ。
最もお勧めの絶景スポットは、伊勢神宮の鬼門を守る金剛證寺(こんごうしょうじ)が山頂に建つ標高555メートルの朝熊(あさま)岳の標高500メートル地点に立つ展望台。三島由紀夫の「潮騒」の舞台になった神島の真上に富士山が現れ、伊勢湾から鳥羽湾に浮かぶ多島風景が美しい。日の出は東南東の方角、弘法大師が同寺の奥の院として創建したとされる丸興山庫蔵寺(がんこうざんこぞうじ)が立つ丸山(標高約288メートル)の奥に見える水平線から上がる。自動車の場合、伊勢-鳥羽を結ぶ観光有料道路「伊勢志摩スカイライン」を通って山頂まで。初日の出に間に合うように伊勢神宮内宮前から臨時バス(5時10分、5時30分、5時50分出発の3本)も出る。先着1000人に「朝熊山初日の出汁」の振る舞いサービスも。開門時間は12月31日7時~1月1日19時、1月2日~15日 6時~19時。
鳥羽-志摩を結ぶ観光道路「パールロード」鳥羽展望台が立つ標高162メートルの箱田山(鳥羽市国崎町)からも絶景だ。1月1日限定で4時に開門する。富士山と朝日を同時に見ることができる展望レストラン「ヴィスタマーレ」は6時から営業。同レストランでは「初日の出チャージ(500円)」が必要だが毎年多くの人が席取りのために列を作る。パールロード沿い、石鏡(いじか)バス停近くの「潮騒の丘」からも絶景。
旧暦の1月18日に「お船祭」が盛大に行われ「海の守り神」として漁師らの信仰をうける高野山真言宗・青峯山正福寺が立つ標高336メートルの青峯山(鳥羽市松尾町)の山頂にある駐車場からも富士山と朝日が見ることができるが、こちらは視界が狭いため注意が必要だ。
鯨が観音様を背に乗せやってきたという伝説が残る「鯨崎」(鳥羽市相差町)、伊勢神宮に納める熨斗鮑(のしあわび)を作る「神宮御料鰒調製所」近く、倭姫命が巡幸した跡だとされる碑が立つ「鎧崎」(鳥羽市国崎町)からも美しい。
「安乗(あのり)崎灯台公園」(志摩市阿児町安乗)では、毎年「初日の出と富士山を見る会」が伊勢エビ汁、フグ汁、甘酒約600~800杯の振る舞いを行っている。
国府海岸(志摩市阿児町国府)、市後浜(同志島)からは初サーフィンを楽しむサーファーの背中に富士山と朝日が現れるが、初サーフィンが出来るだけの波があるかはわからない。波がなければ誰もいない静かな海の上に富士山と朝日が浮かぶ。
真珠イカダ浮かぶリアス式海岸の英虞湾を一望できる標高203メートルの「横山展望台」(志摩市阿児町鵜方)からは、志摩スペイン村のジェットコースターの上に富士山が浮かぶ。朝日は英虞湾の上の太平洋の水平線から。
弘法大師が自らの爪で彫ったとされる不動明王を祭る御座爪切不動尊をふもとに持つ標高111.8メートルの金比羅山(志摩市志摩町御座)からは英虞湾の向こうに富士山が見ることができる。朝日は太平洋から出る。
2015年1月1日の日の出時刻は、朝熊岳展望台からは6時55分、志摩市の海岸付近からは6時59分ごろ。気象庁発表の三重県南部地域の天気予報(12月31日11時発表)では、晴れ時々くもり、所により夕方雪か雨。早朝は富士山も初日の出も大いに期待できそうだ。