安心・安全な農産物を生産しようと「よこやま」(志摩市阿児町、TEL 0599-43-5888)の社長・西村悦子さんが、熱帯や亜熱帯地方で栽培されるサトウキビを温帯地方に分類される伊勢志摩で栽培しようとチャレンジしている。
西村さんは、夫の昌人さんが社長を務める建設関連会社を昌人さんと共に営んできたが、息子たちに事業を引き継ぐ準備と新たにアグリビジネスに乗り出そうと意欲を持って、2011年3月に同社を設立する。
「この地方の海岸に打ち上げられる海藻を肥料に使い、農薬や化学肥料に頼らない安心・安全な農産物の生産をしようと立ち上げた。植物本来の力を引き出した栽培方法で新たな地域資源となる農産物を作っていきたい」と西村さん。
現在、クコ茶やクコの実などで知られるクコやサトウキビ、クンシンサイなどを阿児町安乗(あのり)地区で栽培。農業に対して素人だった西村さんは失敗も数多く繰り返した。「雑草を取り過ぎて1年目のクコ栽培は虫たちの餌食に。ワサビにもチャレンジしたが大失敗だった(涙)」と打ち明ける。それでも「あまり人が作っていない品種で、この地方でも効率よく栽培できるものに取り組みたい」と希望を忘れていない。
サトウキビの栽培初年度となる2011年は、100本の苗を石垣島から取り寄せ植え、収穫時には500本近くに育った。2年目、3年目と順調よく育ち、4年目で200坪の農地に約3000本のサトウキビが育つまでに増殖させた。
しかしサトウキビでも失敗を繰り返した。「スタートからうまくいったので、これは行けると思い、サトウキビの茎をカットして生(フレッシュ)で販売してみたが、全く売れなかった。結局2年3年で育ったサトウキビも収穫はしたものの、ほとんど廃棄処分した」とつぶやく。
4年目となる昨年は搾汁機(さくじゅうき)を購入。12月に刈り取った約3000本以上のサトウキビを1週間以上掛けて搾って煮詰めてシロップに。約250リットルの絞り汁が煮詰めて約47リットルになった。100%天然のサトウキビのシロップはびん詰めにして今年販売する予定だ。「今年はさらに農地を700坪にまで増やす予定。シロップの販売ができるようになったらぜひ購入していただければ」と呼び掛ける。