ヤシ科の南洋植物「フェニックス」の葉に大量のカブトムシが集まってくるというニュースがテレビで放映され、それを見た地元の子どもたちが虫かごと虫取り網を持って集まり、さらに他のマスコミも取材に集まるという「カブトムシフィーバー」が志摩市内で起きている。
発端は、カブトムシがフェニックスの葉にぶら下がるようにして集まっているのを、旅館ひろはま荘(志摩市志摩町和具、TEL 0599-85-0525)の石部マネージャーが昨年発見したのが始まり。同旅館は庭にたくさんのフェニックスが植えられており、さらに3コース24ホールの公式グランドゴルフ場も整備、夜間の照明設備もあり、その照明に誘導されてカブトムシが集まるようになった。昨年は約600匹のカブトムシを捕獲し、宿泊客や地元の子どもたちに譲っていた。今月に入り、名古屋のテレビ局がその様子を放映したことから、他局でも話題になり取材の申し込みが絶えなくなった。その話題がいつの間にか「フェニックスにカブトムシがやってくる」という口コミで広がり「カブトムシフィーバー」を生み出した。
カブトムシは通常クヌギやナラなどから出る樹液を求めて活動する夜行性の甲虫で、夜間明るい照明などにも誘われて集まる習性があることから、グランドゴルフ場の照明が誘導灯になり集まり、止まり木としてフェニックスに群がったのが「フィーバー」の真相。今では暗くなって照明を照らす時間帯になるとどこからともなく子どもたちが集まり、カブトムシに群がっている。
「カブトムシフィーバー」について石部さんは「昨年大量のカブトムシの死骸を庭で発見し、もしかしたらカブトムシが飛んでくるのかもと夜に観察していたところ数十匹のカブトムシを捕獲。その後の約2週間で約600匹を捕った。先日の台風の直撃があった14日の晩に確認したところ98匹を発見した。軽い気持ちでテレビ撮影に応じたがすごいことになり驚いている。おかげさまで夏休みに入りカブトムシ目当ての家族連れの宿泊予約も増えているので思わぬ誤算に喜んでいる」と話している。
「カブトムシは旅館敷地内のグランドゴルフ場のフェニックスに多く集まるため、予定していたグランドゴルフのナイター営業は、『フィーバー』が収まるまでは当面はお断りする予定。子どもたちの夢を壊すわけにはいかないので今のところは無料で開放している。マナーだけは守ってもらえれば」(石部さん)とも。