「伊勢麻振興協会」の設立を記念した文化講演会が5月16日、後の大正天皇(明宮嘉仁親王)も宿泊されたことがある国の重要文化財「賓日館(ひんじつかん)」(伊勢市二見町)で開かれる。主催は、三重ニュービジネス協議会と伊勢麻振興協会。
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三重ニュービジネス協議会は、地域内の創業支援や起業促進活動などを目的に昨年6月設立。伊勢麻振興協会は、日本古来の麻の文化が急激に消滅しようとしている現状を憂い、危機を打破しようと麻の重要性を広く訴え、活動するために昨年12月設立。2017年の麻栽培を目指している。
当日は2部構成。1部は基調講演「素材が語る、日本~『先人が遺(のこ)したカタ』から普遍的な価値を読み取る~」。日本人がいかに自然を読み解き、その恵みの天然素材をどう活用し、生活、文化を紡いできたかについて民俗情報工学研究家、多摩美術大学の非常勤講師の井戸理恵子さんが講演する。
2部はパネルディスカッション「日本人と麻~『伊勢麻』その作物としての可能性~」。日本人と麻の関わりから麻栽培の現状、「伊勢麻」の可能性、麻を通じた伝統文化、技術の保存継承、三重県中南勢地域の農業振興などについて、松本さんの進行で井戸さん、麻福(神奈川県海老名市)代表の北村隆匡さんらがパネリストとなって議論する。
伊勢麻振興協会の代表理事の松本信吾さんは「この国の文化には、この国の環境の中で生き抜くための知恵が集約されている。天然素材を余すことなく活用してきた日本人。その知恵を生活技術と捉え直せば、風俗、習慣、信仰、さまざまなことに生き抜く『智恵』が見いだされる。科学も伝統も宗教も哲学も自然との関わりなく成立しない。便利な生活を追求する現代では、自然との距離は離れ、自然への意識は薄らいでいく。人それぞれ感じ方あるが、その根底にあるものは自然との調和だ」と話し、参加を呼び掛ける。
開催時間は15時~18時。入場料は1,000円(賓日館入館料を含む)。高校生以下、皇学館大学生、三重ニュービジネス協議会会員は無料(同入館料120円が必要)。