暖冬のため日本各地のスキー場関係者が雪不足で頭を抱えている。伊勢志摩に工場を持つ河田フェザー(明和町)も同じように暖冬の影響を受けているが、12月24日に見た工場内の窓からの景色はまるでホワイトクリスマスのようだ。
【その他の画像】日本一の羽毛生産力を誇る河田フェザーの巨大マシーン
かつて伊勢神宮に仕えた斎王(さいおう)が住んでいた斎宮(さいくう)があったとされる明和町にある同社は1891(明治24)年創業で、今年124年を迎えた。同社は、羽毛布団やダウンジャケットの中に詰める羽毛素材を布団メーカーやアパレルメーカーなどへの供給が主な業務。
工場には、羽毛を洗浄し乾燥させ選別するために設置したドイツ製の巨大なマシン3基を設置。木枠の窓がたくさん取り付けられた最終工程の巨大なマシンは風を送って羽毛を分ける選別機でその高さは約8メートル。窓枠が木製なのは静電気を抑えるため(金属素材では静電気が起こって羽毛が引っ付いてしまう)。この日は、暖冬の影響もあり1ラインだけが稼働していたが、木枠の窓からは羽毛がふわふわと漂い雪が降ったように見えていた。
同社のマシンは、1年間に約2000トンの羽毛を洗浄できる能力があるが、現在は400トンほどで推移。現在同社は2011年から羽毛のリサイクル事業「UMOU PROJECT(羽毛プロジェクト)」を積極的に展開中。
同社執行役員で同プロジェクトを推進するために設立したエコランド(同)社長の黒田健さんは「当社で洗浄した新しい羽毛のゴミの量を測ると9158個だが、リサイクルした羽毛は1737個と極端に少ない(5分間に一定区間を通過するゴミの数を測定、一般的な羽毛のゴミの量は約1万7000個以上)。実は羽毛は循環資源。リサイクルダウンは長年使用されてゴミが分離されさらに洗浄するため品質的には新しいものよりもきれい」と説明する。
約1キロの布団に約100羽分のダウンが使われていると換算して、これまでに布団換算で2万枚以上を回収したという。黒田さんは「リサイクルダウンの良さを知っていただき、羽毛をリサイクルする仕組みを社会に定着させることが大切」と力説する。