等身大の木彫り海女の彫刻家で知られる志摩市在住の山川芳洋さんが4月15日、鳥羽・志摩の祭りなどをまとめた書籍「鳥羽志摩の國 民俗歳時記」を出版した。
山川さんは、三重県の地域振興課地域振興部などで働きながら、土曜日曜などの休日を使って鳥羽志摩の祭りを取材し続けた。1992年から海女を題材にした彫刻を始め、2000年に情報発信サイト「海女文化村」を開設。2007年から鳥羽・志摩地域の農村や漁村を訪ね歩き本格的に調査を開始し、10年以上掛け同書をまとめ上げた。クスノキの大木を彫って作った海女の作品は、2011年、2013年、2014年に日展に入選するほどの腕前で、伊勢志摩地区では海女を彫る「彫刻家」としての顔の方が有名だ。
同書は時系列で歳時記を紹介しながら、地域ごとの索引も付け山川さんが撮影した写真を合わせてわかりやすくまとめている。全168ページ。
山川さんは「10年間のうちにも、後継者がいなくなり年々規模が縮小されたり簡素化されていく祭り、仕方なく休止しなければならなくなった祭りを目の当たりにしてきて、このままではいけない。先人たちから受け継がれてきた祭りがその地域にあったことだけでも伝えなければと思い一念発起した」と話す。
県庁時代の山川さんは、三重県の東紀州(尾鷲熊野地区)の地域振興を担当、2000年に「東紀州体験フェスタ」を成功させた。その前身の「古道ウオーク」は初年度3000人が毎年3倍ずつ増やし同フェスタ開催の年には11万人を熊野古道に導いた実績を持つ。
山川さんは「県庁時代に関わらせていただいた経験が今回の出版のきっかけになっている。1人でも多くの人に鳥羽志摩の行事や祭りを知っていただき、地域の支援者が増えればと願う。次代を担う若い人たちに何かを少しでも受け渡すことができれば」とも。
価格は1,620円。伊勢志摩地区の主要書店、海の博物館(鳥羽市浦村町)などで販売中。