広大な伊勢神宮の鎮守の杜(もり)を含む伊勢志摩の豊かな自然の中で「月(ツキ)・日(ヒ)・星(ホシ)・ホイホイホイ」と鳴く「サンコウチョウ」の子育ての様子をフォトグラファーの加藤直人さんが7月8日、カメラに収めた。
伊勢市出身で三重県を中心に活動する加藤さんは、鈴鹿サーキットで行われるモータースポーツの撮影のほか、伊勢志摩の自然や伊勢神宮で斎行される祭典などを撮り続けている。2013年の式年遷宮ではレンズを通して神様の引っ越し「遷御(せんぎょ)の儀」を見届けた。
サンコウチョウは、スズメ目カササギヒタキ科の鳥。4月下旬に南方から渡来し本州中部以西で繁殖する。スズメくらいの大きさだが産卵期に雄の尾が約30センチも長く伸びる。目の周りとクチバシがコバルト色をして美しく、バードウオッチャーの中では人気の夏の野鳥に数えられが、薄暗い森林の中で子育てをするのでカメラマン泣かせでもある。鳴き声が「月日星…」と聞こえることから3つの光の鳥「三光鳥」と名付けられた。スズメ目アトリ科の太く黄色いクチバシが特長の「イカル」も同じように鳴く。
約60~70メートル離れた場所からの撮影に成功した加藤さんは「伊勢志摩サミットが開催されたこの地の某所山林の中では、さまざまな鳥たちの『子育てサミット』が佳境に入ってきた。変わった鳴き声が特徴のサンコウチョウの子育てもまさにその真っただ中。サミット警備の警察官に横目でにらまれながらも、ゴールデンウイークごろから森の中を探し始め、仲間の協力で巣を見つけて観察開始。途中ヒヨドリに卵を盗まれるなど、いろいろな苦難を乗り越え、先日無事に3羽のひなが巣立っていった」と話す。
「マイナスイオンいっぱいの森の中に神の懐深さを感じながら、まだまだいろいろな自然の仲間たちとの出会いと触れ合いは一年中続く」とも。