伊勢志摩の海抜0メートルの地点から条件がそろった時に宙に浮いたような富士山を観測することができる。2017年元旦に「宙に浮く富士山」と「初日の出」を見よう。
【その他の画像】安乗崎灯台の下の海岸沿いから撮影した「宙に浮く富士山」
気温が下がる冬の早朝で空気が澄み水平線上に雲がない条件の時、富士山が宙に浮いたように見える不思議な自然現象が発生する。ユネスコ世界文化遺産登録された高さ3776メートル日本最高峰の富士山。伊勢志摩からは直線距離で200キロ以上離れている。
「一富士二鷹三茄子」と初夢に見ると縁起がいいとされる富士山だが、伊勢志摩地域からでないと見ることができない「宙に浮く富士山」「浮き富士」「エアー富士」を1月1日の朝、どこへ行けば見ることができるか、伊勢志摩経済新聞のカメラマンで写真家の泊正徳さんに聞いてみた。
泊さんは「明日の朝はよく冷えると思うので水平線にさえ雲がなければほぼ100%浮くと思う。志摩市では、安乗(あのり)灯台のある『安乗崎公園』(阿児町安乗)、サーフィンが盛んな『国府浜(こうのはま)』(同町国府)は南側から(パークゴルフ場クラブハウスからは見えない)、『浅浜』(同町甲賀城ノ崎)、サーフィンスポットの『市後浜』(志島)は駐車場正面左に富士山、初日の出は右に、鳥羽市は『千鳥ケ浜』(相差町)、『鎧崎(よろいざき)』(国崎町)が比較的わかりやすい。伊勢市から松阪市までの伊勢湾岸からも富士山は見ることができるが、手前に陸地が入るので浮いたようには見えない」と説明する。
「宙に浮く富士山」は、志摩半島の沖を流れる黒潮の影響が非常に大きく、特に気温が下がる冬場に海水と水面近くの空気との温度差が大きくなるので光が屈折して起こる「蜃気楼」の一種「浮島現象」がより際立って起こりやすい。
泊さんは「水平線の上に富士山が出るのは、陸地からはこの地域だけ。春から夏は富士山の出現率が低いので今がチャンス。伊勢神宮や伊勢志摩サミットが開かれた賢島を訪れながら宿泊していただき、早朝には富士山の撮影にチャレンジしていただければ」と呼び掛ける。