日本神話に登場する猿田彦大神(サルタヒコオオカミ)を祭る猿田彦神社(伊勢市宇治浦田)が2014年2月から進めてきた社殿などの改修工事「平成の御造営」が、今年10月に完了した。
2014年10月24日の夜、本殿遷座祭が執り行われた。二重破風の妻入り造りが特徴の「さだひこ造り」の本殿には12本の柱で耐震強化を施し、社殿の修復や神宝・装束を新調、バリアフリー化などを行い、「平成の御造営」に総額約10億円をかけた。
造営工事は、1期(2014年2月~10月)で猿田彦大神と大田命を祭る本殿の修復、大鳥居の改修、佐瑠女(さるめ)神社の新装、祝詞(のりと)殿・拝殿の耐震化と改修など、2期(2015年2月~2016年3月)で社務所棟・参集施設の整備、参拝休憩所の改修、3期(2016年7月~2017年10月)で自然環境を生かした神殿周辺の景観整備、参拝者休憩所、青少年館の改修、第三倉庫の改築、などを行った。
造営計画の完工を祝う完工祭が10月20日と21日に執り行われ、人間国宝でもある野村万作さんらによる狂言、俳優の松平健さん、歌手のさだまさしさんによる奉納行事も無事が執り行われた。
サルタヒコは、日本神話「天孫降臨」でアマテラスの孫にあたるニニギを先導・道案内(みちひらき)した神とされ、元々その地を治めていた神(国津神)とされる。同神社は、猿田彦大神と、現在の伊勢神宮の地を倭姫命(ヤマトヒメノミコト)に献上したとされる大田命(オオタノミコト)を祭りその神話に基づき、交通安全、土地開発、開業、開運など「みちひらき」に関することにご利益があるとされる。境内社の「さるめ神社」は、日本神話「岩戸伝説」で岩屋の前で踊り、「天孫降臨」でサルタヒコと最初に対面したとされるアメノウズメを祭る。