三重県志摩市・国府浜(こうのはま)で行われた「第53回全日本サーフィン選手権大会」が、8月20日~25日までの6日間の日程を終え、閉幕した。
【その他の画像】全日本サーフィン選手権大会シニアウィメンクラス優勝の前田きみか選手
日本サーフィン連盟(NSA、東京都文京区)が毎年開催する同大会は、全国70支部の予選を勝ち抜いたアマチュアサーファー約1000人が19のカテゴリーに分かれてサーフィンの技で競い合う日本最高峰の大会で、アマチュアサーフィン日本一を決定する。国府浜では、1981(昭和56)年の16回大会、2009年の44回大会、2012年の47回大会が開かれた。
今大会には、最年少9歳の鈴木慈英(千葉南)選手から最年長71歳の山崎市朗(湘南藤沢)選手までのサーファー1030人が志摩市に集結した。選手たちは各クラスごとでラウンドをこなしたが、台風19号、20号のうねりと風を受けて苦戦していた様子だった。
三重支部からは、ボディボードウィメンの山下海果(なみか)選手、 シニアウィメンの前田きみか選手、 ロングボードメンの下田泰成選手が優勝。メンクラスの神田竜聖選手は惜しくも2位、斉藤昇吾選手は3位と健闘した。シニアクラスの下田泰成選手はロングボードメンとの2冠を懸けたが惜しくも2位に終わった。長年日本のサーフィン普及に貢献した人だけが出場できるロイヤルクラスでは田畑克彦選手が2位に入った。
団体戦では、24日時点での中間発表で千葉東支部が1位を走っていたが、最終日に三重支部が逆転優勝。昨年の1位だった湘南藤沢支部は2位に終わった。
下田選手は「2冠を狙ったが残念だった。本当はいつも入っているポイントでショートのシニアクラスで優勝したかった。でも成果には十分満足している」と笑顔で話す。前田選手は「ポイントで離されていたが落ち着いて波を選んだのが良かった。前回2012年の時はファイナルラウンドまで進んだが4位だったので悔しい思いをした。とても楽しかった」とコメント。
メンクラスファイナルラウンドまで残った神田選手は「焦りが出て波を選びきれなかった」、斎藤選手は「逆転を狙ってエアーを入れたが失敗した。昭雄さん(三重支部長)が今年で支部長を引退するというので優勝したかったが叶わなかった…」を悔しがった。
浜村昭雄三重支部長は「台風19、20号と2つの台風が太平洋沖で発生し、大会運営がどうなるか心配したが、23日だけ中止するだけで、そのほかの日は天候に恵まれ波もありいい大会だったと思う。事故もなく何事もなく無事終わったことが何よりうれしい。運営する側の意識やスキルを高めることも重要だと感じた。個人的には(父として)息子たちが勝てなかったことが残念だった…」と漏らす。
1981年の16回大会でジュニアクラスで日本一になり、後にプロサーファーとなった志摩市出身の福田義昭さんは、今回各ラウンドの解説を担当。福田さんは「台風の難しい波でも選手たちは日頃の練習の成果を発揮して結果を出していった。地元の選手たちはホームという(勝たなければいけないという)プレッシャーもあったと思うが、団体優勝できたということが最高の成果となった。米国カリフォルニアのハンティントンは、今ではサーファーが集まるビーチになったが、ピア(大きな桟橋)を作ったり、サーフィンに特化したことで大きく発展していった。国府浜のビーチもとても美しいのでハンティントンのようになれるだけの可能性は十分ある。大会の成功をきっかけにさらにサーフタウンを目指してほしい」と目を輝かせる。
各クラスの優勝者は、以下の通り(敬称略)。
キッズ=松永健新(千葉東)、ボーイズ=金沢呂偉(徳島)、ジュニア=岡村晃友(大阪)、メン=石川拳大(学連)、シニア=佐野由騎(相模原)、マスター=﨑村公彦(宮崎)、グランドマスター=豊田泰史(千葉西)、カフナ=市川聡(東京)、ガールズ=中塩佳那(山形)、ウィメン=伊藤ななみ(東京多摩)、シニアウィメン=前田きみか(三重)、ロングボードメン=下田泰成(三重)、ロングボードマスター=山崎市朗(湘南藤沢)、ロングボードウィメン=松下歩(高知) 、ボディボードメン=榎戸崇人(千葉東)、ボディボードウィメン=山下海果(三重)、支部長=森宣仁(静岡3区)、ロイヤル=三口省賢(大阪)。
団体賞は、パドルリレー=湘南藤沢支部、団体総合=三重支部。特別賞として、ベストライディング賞=金沢呂偉(徳島)、三重県知事賞=岡田吹羽子(山口)、志摩市長賞=下田泰成(三重)、敢闘賞=川瀬新波(三重)。