伊勢神宮内宮(ないくう)神苑(しんえん)で5月1日~3日の3日間、新天皇ご即位を祝う舞楽が行われている。
「令和」改元となった5月1日、即位した天皇陛下が歴代天皇に伝わる三種の神器のうちの剣(つるぎ)、勾玉(まがたま)などを受け継ぐ「剣璽等承継の儀(けんじとうしょうけいのぎ)」、その後皇后になられた雅子さまとともに即位後初めて国民と会う「即位後朝見の儀(そくいごちょうけんのぎ)」が行われたほぼ同時刻、三種の神器の鏡が納められている伊勢神宮神苑の特設舞台で新天皇のご即位を祝う舞楽「振鉾(えんぶ)」「萬代舞(よろずよまい)」「萬歳楽(まんざいらく)」などが披露された。
舞楽は、 2人の舞人が鉾(ほこ)を振り、舞台をはらい清める「振鉾」から始まり、1953(昭和28)年の第59回神宮式年遷宮を奉祝して作られた神宮独自の歌舞(うたまい)で新たに建てた社殿の柱を突き固める祭典「杵築祭(こつきさい)」において歌う古歌(「天照らす 大宮どころ かくしつつ 仕えまつらむ萬代(よろずよ)までに 萬代までに」)に宮内庁式部職楽部元楽長・薗広茂さんが作舞・作曲した「萬代舞」を披露。十二単(じゅうにひとえ)と呼ばれる装束に山桜の花の天冠(てんかん)を着けた4人の舞女が檜扇(ひおうぎ)を持って優雅に舞う。
鳳凰(ほうおう)をかたどった鳥甲(とりかぶと)をかぶった4人の舞人が舞う「萬歳楽」は、古代中国で名君が世を治める時に必ず現れた鳳凰が「賢王万歳」とさえずった声や飛翔する姿を舞楽にしたと伝えられている。天皇ご即位の大饗(だいきょう)において披露されるめでたい舞楽。
伊勢神宮では、毎年春の「昭和の日」と秋の「秋分の日」前後の3日間、年2回、「神楽祭」が行われているが今回は、即位の日に合わせて舞楽を公開した。
1日は雨が降ったため参集殿で行われたが、2日・3日は春のそよぐ風が清々しく青空の下で行われた。参拝者らは雅な舞楽の音色に足を留め、暫し平安時代に時間旅行しているようだった。