「公益社団法人落語芸術協会(芸協)」(東京都新宿区)と伊勢市による落語の公演会「伊勢おかげ寄席」が11月19日・20日の2日間、伊勢市生涯学習センター「いせトピア」(伊勢市黒瀬町)で行われた。
「伊勢おかげ寄席」の開催は、落語を地域の活性化、文化・観光の振興に生かそうと、芸協と同市が2019(平成31)年1月21日に寄席形式の落語会の定期開催や芸協ならではの観光振興策の提言などを盛り込んだ「文化芸術鑑賞機会の拡大に関する協定(落語協定)」を結んだことによるもの。
今回の「伊勢おかげ寄席」には、芸協の会長を務める春風亭昇太さん(20日のみ)、三遊亭小遊三さん、桂文治さんの真打ち3人と、津市出身の春風亭昇市さん、松阪市出身で毎月末に伊勢おかげ横丁で「みそか寄席」を行っている桂文我さん(19日のみ)、講談師の日向ひまわりさん、太神楽(だいかぐら)曲芸の鏡味(かがみ)正二郎さん、バイオリン漫談のマグナム小林さんらが登壇した。入場者数は、19日=約400人、20日=約450人(満席)。
20日には、登壇する9人が伊勢神宮を参拝。その後宇治橋前からおかげ横丁入り口まで4台の人力車に乗って「伊勢おかげ寄席」をアピールした。
公演前の記者会見で春風亭昇太さんは「今回、落語芸術協会が伊勢市さんと仲良くさせていただけることになり、初めての公演となるのでみんな気合が入っている。一人でも多くの人に落語を楽しんでいただければ」とまとめると、三遊亭小遊三さんが会長としてのあいさつに「完璧ですよ(笑)」と突っ込み、続けて「伊勢市長さんや関係者の皆さんが『過剰に』喜んでいただいていることにびっくししている。世間ではそんなに(落語が)期待されている分野じゃないからね…」とぼけた。
桂文治さんは「毎年『みそか寄席』を文我兄さんと一緒にさせていただき、また四日市で初代桂文治が亡くなっており、今年で没後203年になる。三重県にはご縁がありとても親近感がある」と話すと、春風亭昇太さんが「今の文治は伊勢で死にたいと言っている」と間髪入れず笑いを取った。