猿田彦神社(伊勢市宇治浦田)で12月31日、一年の罪けがれをおはらいし新年を清らかに迎えるための祭典「大晦日大祓式(おおみそかおおはらいしき)」が行われた。
同神社の主祭神は、猿田彦大神(さるたひこおおかみ)と伊勢神宮の地を倭姫命(やまとひめのみこと)に献上したとされる大田命(おおたのみこと)。猿田彦大神は、日本神話「天孫降臨」で天照大御神(あまてらすおおみかみ)の孫に当たる瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)を先導・道案内(みちひらき)をした神様とされ、もともとその地を治めていた神(国津神)。境内社には日本神話「岩屋伝説」で踊りを披露し、後に猿田彦大神の妻となったとされる天宇受売命(あめのうずめのみこと)を祭る「佐瑠女(さるめ)神社」が立つ。
祭典では、小麻(こぬさ)と呼ぶ小さな御幣(ごへい)を集まった参拝者一人ひとりに配布し、小麻を左・右・左に振り、息をふっと吹きかけると回収し、祭壇に納めた。振るうことでけがれを祓い、息を吹くことで清めることにつながるという。
神職が「大祓詞(おおはらえのことば)」を奏上し続いて、サカキで天と地を祓う。続いて、麻と布(昔は絹)を裂き、サカキも枝を落とし折り曲げ、小麻と共に祭壇に納めた。その直後、境内のかがり火に火打ち石を擦って火をつけ、小麻や全国から届いた人形を焼き清めた。
大祓が終わると参拝者らは、餅の振る舞いの列に並んだ。毎年参加するという同市中村町の女性は「猿田彦さんの大祓を受けないと新年を迎えられなくなってしまった…。おかげさまで今年一年も無事に過ごすことができた」とほほえむ。
新年を迎えるにあたり、宇治土公貞尚(うじとこさだひさ)宮司は「陛下の御心のままに穏やかな新年が迎えられますようにお祈りいたします」と話す。
毎年12月31日に行っている同祭典。毎年6月30日にも「水無月晦日大祓式(みなづきみそかおおはらいしき)」を行っている。同神社は、令和最初の正月を迎えるために、佐瑠女神社の隣に御朱印記帳所を新設した。