伊勢工業高校(伊勢市神久)建築科の3年生が10月15日、課題研究の授業で日本の伝統的な建築を学ぼうと土壁塗りに挑戦した。
同校は、造船業が盛んだった同市大湊地区における人材育成の場として1896(明治29)年に誕生した大湊工業補習学校が創立の起源。現在は機械科、建築科、電気科の3学科に分かれ、1学年に計約160人3学年計473人学んでいる。
4月から取り組む今年度の課題研究は、土壁、板金・らんま、3DCAD、建築パース、設計・製図の5チームに分かれテーマ研究を続けている。
土壁チームは、卒業生でもある東原建築工房(志摩市阿児町)の東原達也さんが講師を務め、自然に対抗せず自然と共生し、気候風土に適応し、できるだけその土地の自然素材を使い、木の特製を活かし、木組みで仕上げるなど日本の伝統構法について在来工法との違い、メリット・デメリットなどを座学や実習を重ね学習する。
生徒たちは、4月に座学、5月に製材・墨付け、6月に木材加工を行い、9月に木材を組み立て竹で編んで壁の下地を作った。
この日は、伊勢神宮や伊勢市のおかげ横丁内の建物、今年7月に完成した大型商業施設「VISON」内の博物館「KATACHI museum(カタチミュージアム)」の土壁などを手掛けた工房カズ(伊勢市二見町)の西川和也さんがコテの使い方や塗り方などを指導した。
西川さんは「土壁塗りは、コテ板に土を載せて作業をするが、現場によっては塗る人と土を渡す人と作業分担して行う時もある。熟練した左官職人は2階建てや3階建てくらいの高さまで土を投げてキャッチし手作業する」と説明すると、生徒たちは3階建ての校舎を見上げ「すごい」と驚いた様子だった。始めはぎこちない様子の生徒たちも次第に慣れ、コテを上手に回しながら壁を仕上げていった。
建築科教諭の大西啓介さんは「建築に興味を持ち入学した生徒たちにとって伝統構法について学び、体験できることはとても有り難いこと。生徒たちが卒業し、将来建築に関わる仕事の中で役に立つと思う」と話す。
今後の作業は、塗った壁が乾くのを待ち、10月にもう一度壁を塗り仕上げ完成させ、冬休み前後に完成した壁を三重県林業研究所(津市白山町)にある強度試験機で耐久性を測るストレステストを行い壊し、実験結果を確認する予定。