11弦ギターの第一人者・辻幹雄さんの演奏会が12月25日、公益財団法人修養団(しゅうようだん)伊勢青少年研修センター(伊勢市宇治今在家町)で行われた。主催は伊勢いなほの会(同)。
11弦ギターは、6弦ギターに5本の番外弦を加えたもので、ルネサンス~バロック期にヨーロッパの古楽器「リュート」で書かれた曲をできるだけ忠実に演奏できるようにスウェーデンのゲオルグ・ボリーンさんによって作られた。
辻さんは、1983(昭和58)年に11弦ギターと初めて出会い独学で演奏をマスターし、1991(平成3)年にニューヨーク・カーネギーホールでオリジナル曲によるリサイタルを行うなど11弦ギターの魅力を今も伝えている。1996(平成8)年に伊勢神宮での奉納演奏をきっかけに、同センターでの演奏会を続け今回で27回目を迎えた。
この日は、今年7月17日に熊野那智大社(和歌山県)の滝の前で奉納演奏した「龍神の舞」、白山の神様・ククリヒメをイメージして書いた「白菊」のほか「木もれ日の中で」「天地転生」「祈り」などのオリジナル曲を演奏。ゲストの横笛奏者の松尾慧さんと「万葉の」「アヴェ・マリア」、松尾さんから依頼を受けて辻さんが作曲したヤマトタケルの曲「TAKERU」などオリジナル曲を中心に8曲とアンコール曲2曲の計10曲を演奏した。
辻さんは「6弦ギターや11弦ギターなど西洋の楽器と松尾さんが吹く篠笛や竜笛など東洋の楽器と一緒に演奏することは、音階が違うので合わせるのが難しいが、調弦することで調和し音楽を奏でることができる」と話す。「今年で27回目の演奏会を伊勢でさせていただけることにただただ喜びと感謝でいっぱい」とも。