各家庭の神棚などに祭る伊勢神宮のお神札(ふだ)「神宮大麻(たいま)」第1号に印を押す年初めの祭典「大麻暦奉製始祭(たいまれきほうせいはじめさい)」が1月10日、神宮司庁頒布部(伊勢市中村町)祭場で行われた。
大みそかから休みなく奉職する神職にとって同祭は、伊勢神宮の「御用始め」となり、旧年と新年の「区切り」でもある。
この日は、久邇朝尊(くにあさたか)大宮司をはじめ、神職、奉製員など約120人が見守る中、1年間の作業安全と頒布が滞りなく行われるよう思いを込め、久田哲也祢宜(ねぎ)が第1号大麻に印を押した。
神宮司庁によると、「大麻」は大きく分けて、神宮で直接授与する「授与大麻」と全国の神社に頒布される「頒布大麻」の2種類があり、頒布大麻の神号名には「天照皇大神宮(てんしょうこうたいじんぐう)」と書かれ、「皇大神宮御璽(ぎょじ)」の印が押されている。「神宮暦」は、「神宮大暦(たいれき)」と「神宮暦(小暦)」の2種類があり、天体・気象の情報、全国各地の神社の例祭日などが記載されている。
もともと大麻や暦は、御師(おんし)が全国に頒布していた物を、御師制度が廃止された1872(明治5)年から神宮が同部での奉製・頒布を行い、神社本庁を通じて全国各地の氏神を祭る神社に頒布され、そこから各家庭に届けられているという。
神宮司庁頒布部では、1年間に神宮大麻約900万体、神宮暦約7万部を奉製し、9月17日に行われる「大麻暦頒布始祭」の後、全国に頒布する。