伊勢志摩国立公園の保全や活用に貢献する団体や個人を表彰する「石原円吉賞」の表彰式が11月17日、鳥羽マリンターミナル(鳥羽市鳥羽)で行われた。
石原円吉賞には伊勢神宮を中心としたボランティアガイドを行う「お伊勢さん観光ガイドの会」(喜多島淳二会長、伊勢市)、「白滝さん」として親しまれていた小さな社を整備し滝行のできるスポットに生まれ変わらせ運営する「白瀧どんぐり小屋の会」(松本茂樹会長、鳥羽市)の2団体、特別賞に伊勢志摩の風景や伝統文化を撮る志摩市在住の写真家、泊正徳さんが選ばれた。
1946(昭和21)年11月20日に13番目の国立公園として誕生した伊勢志摩国立公園。伊勢志摩国立公園協会が主催する同賞は、同協会初代会長を務めた石原円吉(1877~1973)を顕彰するとともに、多くの人が伊勢志摩国立公園に関心と親しみを持ち、より魅力ある地域にしていくことを目的に2016(平成28)年、国立公園制定70周年を記念して創設。石原円吉は1877(明治10)年、英虞郡和具村(現在の志摩市志摩町和具)生まれ。水産業振興に尽くし、真珠王として知られる御木本幸吉(1858~1954)とともに伊勢志摩国立公園の指定に尽力、衆議院議員、「海の博物館」(鳥羽市)初代館長も務めた。
当日は、神宮司庁の松永彦次営林部長が「式年遷宮とともに永遠に続く伊勢神宮の森林管理」と題した記念講演も行った。選考委員の櫻井治男皇学館大学名誉教授は「お伊勢さん観光ガイドの会は神宮の歴史や魅力を伝え続けている。今後は神宮の森の奥深さも伝えていただければ。白瀧どんぐり小屋の会は滝行を通して精神性にまで及ぶ体験ができ、地域の魅力を発信している。海外へもアプローチしていくそうで期待している。泊さんは、浮富士がこの地域からしか見えないということ。普段からこの地域に根を下ろして景色を見ているからこそ、その魅力を発信してくれている。とても素晴らしい。伊勢志摩国立公園はディープな公園。これからも地域のために活動していただければ」と、それぞれ期待を寄せた。