波切(なきり)漁港(志摩市大王町)で現在、サッパ(ママカリ)と呼ばれる小魚が大量に打ち上げられ港内を漂う小魚の死骸の回収作業に漁業者や市の職員らが追われている。
12月11日、港内に大量の小魚が群れになって入り始めた。堤防では釣りを楽しむ人たちの姿も。12日になると海水中の酸素不足からか、息をすることができなくなった小魚が水面に浮き始めた。13日には、浮き上がった大量の魚の死骸で水面が白くなり、漁業者が網ですくい、小魚の回収作業を開始。市も対応に追われた。14日には市が手配した業者が重機に網を付けて小魚の回収作業を行っていた。港内にはまだまだ生きた魚の群れが水面付近を泳ぎ回っているようで、その魚を狙ってカモメやトビが水面スレスレを飛び回っている。
漁港近くに住む男性は「50年以上この地に住んでいるが、こんなに大量に魚が打ち上げられたのは初めて」と話す。60年近く地元で獲れた魚を干物にしている加工業者で働く女性は「ここ最近構内で大きなアジやカマスなどが多く釣れるようになり、釣り人も大勢来て賑わっていた。アジやサッパもよく釣れていたみたい」と振り返る。
女性は「真夏だったら、腐敗臭で大変だったかもしれないが、幸い気温、水温の低い冬だったので、この臭いで治っているのだと思う。年末にこの騒ぎだったら正月も迎えることができなかったかもしれない。漁師の皆さんも大変だが、行政も懸命に回収作業に尽力している。きれいに回収していただき、気持ちよく新年を迎えることができれば」と祈る。
志摩市建設課職員は「魚の死骸は肥料メーカーが引き取ってくれることになったので、焼却処分しなくても済んだので良かった。明日以降も回収作業は続く予定だが、いつ終了できるかは未定」と説明する。