皇学館大学（伊勢市神田久志本町）で3月18日、卒業式「令和5年度 学位記・修了証書授与式」が行われた。

【その他の画像】皇學館大学卒業式

　本年度の卒業生は、学部生665人（文学部322人、教育学部215人、現代日本社会学部128人）、専攻科生（神道学専攻科）17人、大学院生7人の計689人。

　コロナ禍で一堂に会する入学式は中止、授業もオンラインに振り替えられるなど正常に行われなかった2020年入学の学部生による卒業式。マスクで顔を認識することも困難だったが、この日会場に集った8割以上の卒業生はマスクを着用することなく、晴れ姿に笑顔で式典に臨んだ。

　河野訓（さとし）学長から修了証書を手渡されると各学部の卒業生総代は、深々と頭を下げ修了証書を受け取った。

　河野学長は「実習や学外活動、部活なども中止や延期になり、バイトもできなく経済的にも苦しかった人もいたのでは。パンデミックからほぼ日常に戻ったのは昨年5月。コロナ感染症に振り回されたが、いよいよ旅立つ時が来た。卒業に当たり神宮参拝も行うことができた。今日ここで卒業式ができることは大きな喜び。おめでとう」と祝辞を送った。

　さらに河野学長は、1900（明治33）年当時、伊勢神宮祭主で皇学館総裁の賀陽宮邦憲王（かやのみやくにのりおう）が学問研究と教育の趣旨・目標とするところを示した令旨（りょうじ）の中から「文明を補わんとする」の言葉を紹介。「文明とは人々を精神的にも物質的にも豊かなものとすること。皆さんが本学で学んだことを基盤として新しいより良い社会を切り開いてもらいたい」とエールを送った。

　来賓として出席した久邇朝尊（くにあさたか）伊勢神宮大宮司は「神宮の大御神様のご神徳の下、伊勢の学舎で過ごした日々の記憶はいかなる環境においても皆さんの人生の指針となるものと確信している。感謝と調和の心を忘れることなく、幅広い視野で積極的に挑戦し、誇りあるわが国風の隆昌のために活躍してほしい」と祝辞を述べた。

　文学部国文学科の高橋わかなさんは「コロナ禍による環境の変化は、今となっては時代が一歩先に進む瞬間に立ち会ったのだと感じる。どんな困難に目の前をふさがれたとしても、この大学での学びと思い出を胸に自分を信じ、未来を夢見て歩んでいきたい」と卒業生を代表してあいさつした。