「海童工房 魚寅(かいどうこうぼう うおとら)」(鳥羽市鳥羽、TEL 0599-26-4000)が9月1日、鳥羽産のサワラで作った魚醤(ぎょしょう)「鰆(サワラ)のコラトゥーラ」の販売を始めた。
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鳥羽で100年以上の歴史を持つ鮮魚卸「魚寅」3代目の杉田公司さんが、伊勢志摩で取れるボラやマダコ、カキやタイラギ貝などさまざまな魚介類を燻製(くんせい)や甘露煮、オリーブオイル付けなどに加工、商品化して販売する同店。近年は発酵食品に注目し、塩辛やみその生産にも取り組んでいる。
コラトゥーラは、イタリアのアマルフィ海岸近くにあるチェターラ地方で作られる伝統的な調味料で、主にカタクチイワシを塩漬けにして作る魚醤のこと。サワラはサバ目サバ科の海水魚で、伊勢湾周辺の海域でよく取れる。条件をクリアした一本釣りの脂の乗ったサワラは「答志島トロさわら」として鳥羽磯部漁協がブランド化に成功している。今年も9月1日、「答志島トロさわら」の出荷が始まった。
杉田さんは「味の素発酵技術研究所の所長やクノール食品の社長を務め、福井県立大学名誉教授でもある宇多川隆さんからいろいろな指導を頂き、完成した。昔ながらの魚醤作りには塩を使い約1年かけ発酵させて作っていたが、今回は宇多川さんから速醸法を習い、発酵槽や遠心分離器、オートクレーブ滅菌器などの機材をそろえて作った」と話す。
「速醸法は塩を使わず短期間の製造が可能で、後で塩分を足すことができる。さらに、うまみ成分となるアミノ酸の含有量も長期発酵のものよりも多い。グルタミン酸は通常100グラム中260ミリグラムなのが、速釀法では1670ミリグラムと6倍以上もあった。長期発酵では逆に消失してしまううまみもあるので、サワラのコラトゥーラには最適な製造法だと分かった。通常発酵では腐敗防止のために高濃度の塩で漬け、魚特有の臭みも出るが、速醸法では減塩指向の現代のニーズに対応可能な低塩分の魚醤に仕上げることも可能で、さらに臭みもほとんどない」と説明を加える。
杉田さんは「鳥羽産のマダイを使ったコラトゥーラも近日中に発売予定。『真鯛のコラトゥーラ』をベースにした麺つゆやマリネ液、発酵みそなどの派生商品も現在試作中。通常発酵で製造した南伊勢町宿田曽産のカタクチイワシの魚醤も完成したので、うまみの違いを比べてみてほしい」とも。
仕様は180ミリリットル瓶入りで、価格は1,250円。営業時間は9時30分~17時30分。