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志摩・英虞湾に巨大「ニシキエビ」 南方系伊勢エビ、鳥羽水族館で展示待つ

志摩・英虞湾に巨大「ニシキエビ」 南方系伊勢エビ、鳥羽水族館で展示待つ

志摩・英虞湾に巨大「ニシキエビ」 南方系伊勢エビ、鳥羽水族館で展示待つ

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 真珠養殖盛んな英虞湾に浮かぶ賢島の周辺の海で取れた、南方系の伊勢エビの仲間で約1.3キロの大きさの「ニシキエビ」が現在、鳥羽水族館(鳥羽市鳥羽)のバックヤードの水槽で展示の出番を待っている。

鳥羽水族館のバックヤードで待機するニシキエビ

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 ニシキエビは沖縄などの熱帯地域に広く生育し、イセエビ属最大のエビで、大きいものだと5キロ以上にもなる。足などの横じま模様が「虎」のようなのでトラエビと、黄色や青色、赤色などさまざまで鮮やかな体色から「錦」のようだからとニシキエビと名付けられたとされる。名前のよく似たゴシキエビは足などのしまが縦に入る。

 ニシキエビは、志摩市出身の出口隆史さんが11月8日にカニ網にかかったものを同館に提供。「漁業権を取ってカニ漁が始まる時期に網をかけるのが楽しみで、たまに伊勢エビの200~300グラムのサイズもかかるが、こんなに大きなニシキエビは見るのも初めてだった。温暖化などの影響で、温かい海にいるニシキエビが取れたので、珍しいと思い水族館に提供した。重さ約1.3キロで角も足も全てそろってきれいなエビだった」と話す。角の長さは70センチ以上に達する。

 鳥羽水族館でダイオウグソクムシやオウムガイなどを担当する飼育研究部学芸員の森滝丈也さんは「伊勢志摩の海で取れたニシキエビはたまに持ち込まれるが、サイズは小さいものばかりだった。太平洋に面した外洋でなく、閉鎖的水域の英虞湾で、しかもこれほど大きいものは初めて。恐らく南の海で生まれた幼生が黒潮に乗って流されて英虞湾で大きく育ったのだと思う」と推察する。

 森滝さんは「近年、海水温の上昇により、海の環境や生き物の分布に変化が見られ、伊勢エビの生息域も北上している可能性が指摘されている。以前は珍しかった死滅回遊魚が定着し大きく成長するようになっていることも事実。一昨年、通常は南方にいる国内最大級のオオアカヒトデや伊勢志摩では珍しいアカエビといった温かい海にいる種が鳥羽市の菅島で捕獲され持ち込まれた。これも海水温上昇の影響の可能性が示唆されている」とも。

 ニシキエビは、環境に慣れさせ、餌を食べ、落ち着いたことを確認した後、展示する予定。

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