鳥羽の民宿旅館「魚勘（うおかん）」（鳥羽市相差（おうさつ））の玄関先で11月29日、伊勢エビが「陸上脱皮」した。当時の様子を若女将（おかみ）の亀川詩乃さんがユーチューブにアップした所、その後の伊勢エビの行方を案じるコメントが視聴者から多く寄せられている。

食べられずに今も元気に水槽の中で過ごす「陸上脱皮伊勢エビ」

　注目を浴びた映像は、詩乃さんがタブレットPCで撮影し、脱皮したその日にアップしたもの。漁師で同旅館店主の亀川進さんが脱皮しそうだった伊勢エビを見つけ、たまたま近くで遊んでいた孫たちに見せようと玄関先に置いた所「あれよあれよと脱皮してしまった。孫たちに見せたらすぐ水槽に戻そうと思っていたのに、まさか玄関先で脱皮するとは」と進さんは当時を振り返る。

　12月2日にニュースとして報じるとユーチューブの動画再生回数は12月2日以降、24時間で10万アクセスを超え、現在90万アクセス超。ネット上のコメント欄にはさまざまな感想が寄せられた。

　コメントには、「感動した」「陸上でも脱皮できるのね」などの率直な感想のほか、「水槽で長生きしますように」「こうやって一生懸命生きている姿を見たら、食べられなくなります…」「このまま旅館で飼ってもらって」と長寿を願うもの、「いずれは食べられる運命だろうけど…」「そして…食べられる…」?「食べるの？」といった心配派、「頑張ったから、食べんといて～」「この後どうなったのかが気になります?」など感情移入した感想が多く寄せられた。このほか、中国語や英語による海外からと見られるコメントもあった。

　詩乃さんは「今も元気に水槽の中で過ごしているので安心して。テレビの取材もたくさん受け、こんなに注目されているので、もうお料理に出すことはできなくなってしまいました…。長生きするように水槽で大切に育てていきたい」と話す。

　「テレビ取材の電話はたくさんあったが、宿泊予約の電話は1件も無かった。伊勢エビは腰が曲がるまで長生きするというように長寿の象徴だし、脱皮することは成長しステップアップすることに通じるので、とても縁起がいい。お祝いも兼ねて、特別に陸上脱皮伊勢エビ祝福宿泊プランを企画した。あやかりに来ていただければ（笑）」と宿泊利用を呼び掛ける。

同プランへの問い合わせは同旅館（TEL 0599-33-6807）まで。