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大紀町・阿曽温泉内に「お食事処 紀勢荘」 昨年火事で全焼、再起かける

大紀町・阿曽温泉内に「お食事処 紀勢荘」 昨年火事で全焼、再起かける

大紀町・阿曽温泉内に「お食事処 紀勢荘」 昨年火事で全焼、再起かける

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 昨年火事で施設が全焼した料理旅館「紀勢荘」のオーナー・小倉陽(あきら)さんが1月30日、廃校の校舎を利用した入浴施設「阿曽温泉」内に、飲食店「お食事処 紀勢荘」(大紀町阿曽、TEL 0598-74-1133)を開業し、再起をかけて挑み出した。

大紀町・阿曽温泉内に「お食事処 紀勢荘」 昨年火事で全焼、再起かける

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 昨年7月11日、小倉さんが予約客の昼食の準備をしていた時に火が出てあっという間に燃え広がり、創業1957(昭和32)年の紀勢荘が全焼。小倉さんは「飛び火することなく旅館だけが燃え、怪我人が出なかったのは幸いだった。包丁も器も予約帳も全て燃えてしまい予約客に連絡できずに途方に暮れていたところ、息子が燃えた予約帳を探し出してくれて、7月から8月分の3ページが焼けずに残っていたおかげで、電話して事情を説明することができた」と打ち明ける。

 現在67歳の小倉さんは、18歳から和食の道に進み約50年が経ったという。名古屋市や豊田市の飲食店で約13年、三重に戻り伊勢市で約2年間の修業を積んだ後、実家を継いだ。俳優の小倉久寛さんは従兄弟に当たる。

 小倉さんは「料理に自信があったのと、三重の中央市場まで仕入れに行って良い食材があると(原価率を考えずに)買って、安く提供していたことからか、料理の評判も高かった。熊野古道を歩く登山客や釣り客など常連客も多く、山奥の小さな旅館だったが毎日忙しかった。火事を出してしまい多くの人に迷惑をかけたのに、見舞金や温かい言葉をもらい、感謝でいっぱいで、夜になり目を閉じると涙が止まらない日が2カ月続いた」と振り返る。

 店舗の入る同施設は、廃校になった旧阿曽小学校の木造校舎を利活用し2005(平成17)年7月にふれあい総合施設「阿曽湯の里」としてオープン。「阿曽温泉」のほか、農産物直売所「四季の店 旬彩」、エコミュージアムセンター「宮川流域交流館たいき」などを大紀町が整備した。「阿曽温泉」は小学校の広い廊下はそのままに、教室を入浴施設に改装し、天然温泉を汲み上げ、サウナなどを完備した。当初は休憩室と食堂もあったが、6、7年前から閉鎖していた。

 「お食事処 紀勢荘」は閉鎖されていた休憩室と食堂を掃除し、新しくきれいに整え、4~6人掛けのテーブル4卓、座敷席にも4~6人掛けのテーブル4卓を用意。高い天井や黒板、南向きのガラス窓など、かつての学舎の様子が残っている。

 メニューは、あえ物、だし巻き卵、焼き物など5品に汁物とご飯が付く日替わりメニューの「心ばかり」(1,500円)、刺し身や天ぷらなどが付く紀勢荘なりのおもてなしを込めた「おもてなし」(2,000円)、今できる精一杯の心を込めて「心づくし」(2,500円)、「お子さま弁当」(1,100円)の4種類。前日昼までの予約で「松花堂弁当」(2,200円、3,300円)、オードブル盛り合わせ(3,300円~)などの注文にも対応する。

 小倉さんは「昔、大工さんに『お前らの仕事はすぐ食べたら終わりだからいいな。俺らの仕事は一生残るんや』と言われたことがあり、その時はなるほどと思ったが、おいしいものを食べたら一生覚えている。子どもの時に食べた味はいつまでも心に残っている。それ以来、五感でおいしいと思ってもらえる一生残る料理を作っていこうと目指してきた。今回、多くの地域の人に支えてもらい、再出発することができた。大紀町で生まれ育ち、この町が好きだからこそ、食を通してささやかでも恩返しができれば。これからも感謝の気持ちを込めて料理を作っていきたい」と話す。

 営業時間は11時~14時、火曜、木曜、土曜17時~19時30分、水曜定休。阿曽温泉の営業時間は10時~21時、水曜定休(祝日の場合は翌日休み)。

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