世界19カ国からトップレベルの科学者や研究者約210人が集まり、物と物の「境界」について議論する国際会議「第13回界面粒界国際会議(iib2010)」が6月28日~7月2日、志摩観光ホテル(志摩市阿児町)で開催されている。
物質と物質の「境界」を原子レベルまで解析し、その「境界」について研究発表などを行う同会議は1975年から始まり、材料界面分野で最も権威がある。3年に1度開催され、前回はスペイン・バルセロナで行われた。同分野の研究では日本は最先端を走り、世界からも注目されているという。日本での開催は1985年、1996年に次いで3回目。
物質と物質の「境界」のことを「界面粒界」といい、10億分の1メートルというナノレベルで原子構造まで見ることが可能となった高性能な「走査透過型電子顕微鏡」の出現が、この分野の研究を急激に発展させている。リチウム電池の進化に見られるような小型化と蓄電能力の向上などの技術革新は、「境界」の研究がもたらした社会的な恩恵の最もわかりやすい例。現在、企業間競争の中で、「境界」を知ることが最先端ナノテクノロジー研究のもっとも重要な課題となっている。
同会議は、同ホテルを貸し切って朝から晩まで議論が繰り返されているため、6月30日の午後からは会議を中断し、リフレッシュするために伊勢神宮と御木本真珠島(鳥羽市鳥羽)を観光で訪れた。夜には野呂昭彦三重県知事や大口秀和志摩市長などとともに同ホテル自慢のフランス料理に舌鼓を打ち、サプライズ演出として行われた、ちょんまげワールド(伊勢市二見町)の忍者ショーや花魁(おいらん)道中が会場を大いに盛り上げた。
同会議の実行委員長を務める東京大学幾原雄一教授は「三重県志摩市、賢島のこの地に国際会議を誘致できたことは素晴らしいこと。同ホテルの料理や環境に、外国の研究者も日本の研究者もみんな満足している」と話す。