国府海岸(志摩市阿児町国府)にアカウミガメの親ガメ約13体が今年も産卵のために訪れ、(1体が100個前後の卵を産卵するとして計算すると)約1,300個の卵を産み落とした。
迷走するウミガメの赤ちゃんたちの足跡が人が走っているように見える
昨年全日本アマチュアサーフィン大会が開催され、大会期間中にウミガメの卵がふ化したことでも話題になった同浜。今年も6月8日に産卵した卵は、8月23日にふ化し(子ガメの足跡を数えると)約65匹が海に帰った。その後6月15日産卵の卵は8月27日に67匹の子ガメの足跡を残した。
しかしながら8月31日早朝、通常は海に向かってほぼ真っすぐに描かれる子ガメの足跡に異変を発見。異変は、6月20日にウミガメが産卵した場所からのもので、子ガメの足跡が海に向かわず陸の方にグルグルと円を描いて迷走する足跡になっていた。中には立ち止まっているような足跡も残されていた。
ウミガメのふ化は静かな夜を待って、集団で砂の中から一気に海に向かう。卵からふ化してもすぐには行動を起こさない。潮位や湿度、温度などを本能的に察知してベストなタイミングで海に向かう習性があると言われている。
10年以上同海岸でウミガメの保護活動を続ける浜村さんは、迷走する足跡に対して「ウミガメは光に誘われて向かう習性があるので、深夜の水銀灯の光が原因で迷ってしまったのでは」と推察する。迷走した足跡が残る産卵跡の近くには、防犯用の水銀灯があり夜になると点灯するようにセットされていた。
その事実を知った国府自治会長・橋爪富春さんは「ウミガメがふ化するまでは水銀灯の明かりを消そう」と即断。その対応に志摩市防災課もすぐに動き、その日のうちに点灯しないような措置を取った。
伊勢志摩地域でウミガメやスナメリなどの調査研究・保護活動をしている志摩半島野生動物研究会(志摩市志摩町越賀)会長の若林郁夫さんは「ウミガメの保護に積極的な地域は照明器具にカバーをするなどして光を遮断していたりしている。ウミガメは黄色が認識しにくいようなので、海岸近くの照明設備については黄色に光る低圧ナトリウムランプに切り替えてもらえるように働きかけている。今回の自治会、行政の対応の早さは素晴らしく、感謝したい」と話す。