陸上自衛隊が持つヘリコプター28機が11月3日、編隊を組みながら一斉に伊勢の空に舞い上がった。明野駐屯地・航空学校(伊勢市小俣町)の開設55周年、同校創立58年を記念する航空祭での祝賀飛行。地上には約1万5,000人の航空ファンや家族連れらがその光景に固唾(かたず)を飲んだ。
祝賀飛行に参加した28機は、観測ヘリコプターOH-6D(オスカー)7機、同OH-1(ニンジャ)5機、多用途ヘリコプターUH-1J(ヒューイ)4機、同UH-60JA(ブラックホーク)2機、対戦車ヘリコプターAH-1S(コブラ)6機、戦闘ヘリコプターAH-64D(アパッチ)2機、輸送ヘリコプターAH-47JA(チヌーク)2機。群長機ヒューイを先頭に5つの梯隊(ていたい)を組み、一糸乱れぬ隊形で日ごろの訓練成果を観客に見せつけた。
同祭は、陸上自衛隊が装備するヘリコプターのほとんどを見ることができることや、航空学校操縦教官で組織する「明野レインボー」(OH-6D=4機、OH-1、AH-1S、AH-64D=各1機編成)による展示飛行が人気を集め、ヘリコプターの祭典として日本一を誇こる。明野がヘリコプターの「聖地」と呼ばれる所以(ゆえん)でもある。
海上自衛隊、航空自衛隊、米軍がもつそれぞれの役務のための機能を装備した三者三様のブラックホークの地上展示もあった。そのほか、隊員による模擬店やフライトシュミレーター、ナイトビションゴーグル体験、今年8月に香川県小豆島で、昨年4月兵庫県加古川市で発生した山林火災の消火活動に災害派遣されたチヌークの訓練展示や地上滑走試乗などがあった。
観閲式では、航空学校長兼明野駐屯地司令・福盛裕一陸将補は「私たちは国民の生命・財産および日本国の国際的地位と名誉を守るという強い使命感を堅持し、期待と信頼に応え得る陸上航空の創造にまい進することを誓う」と式辞を述べた。元陸上自衛官で2004年自衛隊イラク派遣第一次復興業務支援隊長を務め、現在は参議院議員の佐藤正久さんは「訓練はあくまでも現場で即実践するためのもの。現場では想定外のことしか起こらない。志は高く、目線は低く、感謝の心を忘れず、家族を大切にすることが普段の訓練の礎になる。国を守るためさらに厳しい訓練に励んでほしい」とエールを贈った。