SOS運動伊勢支部(世話人=北村裕司さん)は東日本大震災で被災した漁業者に中古船を送ろうと「べかプロジェクト」を立ち上げた。1トン未満の船3隻と支援物資を載せた大型トラックが4月9日、豊北漁港(伊勢市有滝町)から大船渡市漁業協同組合末崎支所(岩手県大船渡市末崎町)を目指して出発した。
被災地での安全祈願と早期の漁業再興による大漁祈願を込めた伊勢神宮の海幸大麻を手にする北村さん
SOS運動は、Save Our Sea(セーブアワーシー)の略で海の環境を守ろうと活動する組織。本部は「海の博物館」(鳥羽市浦村町)。北村さんら有志は、東日本大震災で被災し船をなくした漁業者のお役に立てればと急きょSOS運動伊勢支部を立ち上げた。北村さんは「4月1日に思い立ち行動を起こし、多くの皆様のご協力で今日出発式を迎えることができた。ただただ感謝するばかり」と話す。
この日、上部に構造物のない船外機付きの船3隻のほか、三重県ひじき協同組合からヒジキ500袋や寝具などの生活支援物資と安全と大漁を祈願した伊勢神宮外宮「豊受大神宮」の海幸大麻(お守り)3体が10トントラックに積み込まれた。伊勢の物流会社「つた運輸」(小俣町)の協力を得て陸送、到着は11日の早朝を予定。
「一説では、岩手県内で13,000隻以上、宮城県内で12,000隻以上の小型船が損壊、船を新造するにも地域の造船所も被害を受けており、西日本を中心とした日本中の造船所がフル生産しても、全ての船舶を補充するには数年単位でかかると言われている。地震発生後から何かできないかと考えていたところ、この地域で使われなくなっている中古船を無償または格安で提供してもらい被災地へ届けたら?と思い立ち、大船渡市漁協へ連絡を取ってみたところ『是非とも』と言って頂いた。名付けて『べかプロジェクト』。『べか』とは小型の漁船のこと。本当はもっと大きな船が理想だが、まずは『べか』から」と北村さん。
北村さんは「同支所に話を聞くと、海の現状を確認するための船さえもない状況でべかだけでも100隻は欲しいという。この運動を民間の手で全国に広めていけば、少しでも早く船が被災地に届き、被災地の漁業者の勇気づけになると思う。今後も活動を続けていきたいので、船を提供してくれる人、船を運ぶための経費を寄付してくれる人のお力を頂きたい」と協力を呼びかける。
活動はブログで報告、北村さんの連絡先は、090-6464-7739、sos@hijiki.jpまで。