「東日本大震災で被災した漁業者に中古船を送ろう」と活動するSOS運動伊勢支部の「べかプロジェクト」のトラックが8月6日、3隻の中古船と伊勢神宮の安全と豊漁を祈る守り「海幸大麻」3体を載せ豊北漁港(伊勢市有滝町)を出発し、7日早朝に岩手県大船渡市の吉浜漁業協同組合(三陸町)に届けられた。
同プロジェクトは、同支部世話人の北村裕司さんらが中心となって、使用されない中古船や船外機などを回収・改修し10トントラックを仕立て被災地に届けるもの。同プロジェクトが発端となり、全国の善意ある人たちに意識が伝わり、今では全国各地から被災地に船を届けるムーブメントに広がった。現在は、三重水産協議会が5月28日から活動する「中古漁船輸送(絆)プロジェクト」とも連携しながら継続的な支援を行っている。
北村さんは「この日はわれわれの活動を知っていただいた愛媛県の会社が協力したいと申し出てくださり、四国から三重県四日市までのトラック便を交渉し、格安で大船渡市まで走らせる手配をしてくれた。われわれのブログを見てくれ早朝鈴鹿から手伝いに来てくれた人も。さまざまな人のつながりの中で支援の輪が広がっている」と話す。
「SOS運動」は「海の博物館」(鳥羽市浦村町)に本部を置き海の環境を守ろうと活動する組織で、名称のSOSはSave Our Sea(セーブアワーシー)の略。「べかプロジェクト」の「べか」は小型の漁船のことをいう。「海幸大麻」は船1隻に対して1体を毎回北村さんが、伊勢神宮外宮で受け、同便に思いを込めて載せている。
この日の早朝には、第7便として2隻の中古船を乗せた別便が宮城県牡鹿郡女川町を目指して運航している。同便に合わせ救援物資や食料などの提供品も届けられた。この日は食品商社「富永貿易」(神戸市)提供の缶詰約40箱も搭載。これまで届けられた中古船は、1便(4月9日)=3隻大船渡市末崎町、2便(4月23日)=2隻陸前高田市、3便(5月1日)=2隻宮城県牡鹿市女川町高白浜、4便(5月21日)=2隻気仙沼市、5便6便(5月26日)=2隻岩手県宮古市田老、2隻宮城県女川市小乗。
北村さんはこれまで協力してくれた人への感謝も忘れない。「船をもらいにいくと、(あまりにきれいな船を見て)『きれいに使っていたんですね』と伝えると、『いやいや現役で使っていて汚かったので、被災地の方に気持ちよく使ってもらえるように掃除した』と言って燃料まで入れていただいた。ただただ感謝。人の温かさに触れ自分は役得だと思った」とエピソードを披露する。「中古船を提供してくれる方がいる以上、継続していきたいが、正直なところ陸送する資金が少なくなってきた。支援金の提供も引き続きご協力いただければ」とも。
活動は今後もブログで報告していく。連絡は北村さん(TEL 090-6464-7739、sos@hijiki.jp)まで。「べかプロジェクト」の活動報告・写真展も有滝公民館で17日まで開催中。