伊勢神宮崇敬会(伊勢市宇治中之切町)主催の「神宮奉納大相撲」が4月1日、神宮会館(同)内の神宮相撲場で執り行われた。
俗界と聖界との掛け橋とも言われる、五十鈴川に掛かる宇治橋が11時、神宮の警備を担当する衛士らによって約10分間封鎖された。神職に先導された横綱白鵬や新大関の鶴竜らが神妙な表情で誰もいない宇治橋を渡った。
史上初となる6大関(把瑠都、日馬富士、稀勢の里、琴欧洲、琴奨菊、鶴竜)による「そろい踏み」、横綱白鵬による「手数(でず)入り」の奉納が神宮神苑(しんえん)で行われるためだ。神苑には相撲ファン、参拝者ら約6500人が、四股を踏む様子を見ようと集まった。白鵬は不知火型の土俵入り(露払い=旭天鵬、太刀持ち=安美錦)を披露した。
和歌山県の高野山のふもとから来たという高家雅弘さんは、一番乗りで朝8時30分から待っていたという。高家さんは「伊勢神宮の神苑での力士たちの土俵入りは神々しく感動的だった」と感想を漏らした。
同相撲場は、約3000人の観客で埋め尽くされた。7時から稽古相撲や、十両、幕下、三段目などの力士による取組が行われ、普段見ることができない力士たちに声援が送られていた。幕内、横綱の土俵入りが始まると大きな声援が重なり、取組が始まると会場はさらに盛り上がった。
幕内力士によるトーナメント選士権では、琴欧洲が稀勢の里を寄り切り優勝。準決勝で対戦した鶴竜との取組では、負けた新大関に対する暖かい拍手が沸いた。白鵬は2回戦で琴欧洲に早々と破れた。
トヨタ自動車名誉会長で伊勢神宮崇敬会の会長を務める豊田章一郎さんは「力士たちの素晴らしい取組に感動した。国全体が良い方向に進むように伊勢神宮に祈願した」と話す。