日本で働き、日本の文化・特に伊勢神宮に伝わる日本人の心を中国を含め世界に発信しようと活躍する中国人・李相海(リ・シャンハイ)さんの写真展「伊勢志摩の自然と祭礼」が5月8日、鳥羽ショッピングプラザ・ハロー(鳥羽市大明西町)で始まった。
中国遼寧省出身の李さんは1998年3月、三重大学人文学部に留学。その後ホンダやトヨタなど自動車メーカーに就職。2007年3月、現在の勤め先の鳥羽シーサイドホテル(安楽島町)の国際担当として中国を中心としたインバウンドの集客業務をする傍ら、2008年から自身が発信するホームページ「日本紀行」(旧「中部華僑華人」)で伊勢志摩の魅力や正しい日本を紹介、累計アクセス数は5000万にも上る人気サイトになっている。
日中国交正常化40周年(日中国民交流友好年)記念も兼ねた同展は、李さんが2009年11月から今年4月までに撮影した写真30点を展示。伊勢神宮や地域に伝わる祭りを通して、「絆」や「自然への畏敬の念」など目では見えない日本人の心を捉えた作品や、三島由紀夫の小説「潮騒」の舞台となった離島・神島で元日の朝に行われる太陽をかたどった丸い輪を竹で突き刺す奇祭「ゲーター祭り」を写した「偽太陽を突き落とす」などさまざま。その神島と朝日が重なる写真を撮ろうと毎朝朝日を追いかけ鳥羽から伊勢湾の海岸線を北へ走り津市の海岸で撮影した「ドーナツ状の日の出」「ダルマ日の出に浮かぶ神島」は自信作だという。
李さんは「ホテル就職後、伊勢神宮のお木曳(ひ)き行事に参加させていただくことができ、それがきっかけで伊勢神宮の素晴らしさを知ることになった。中国では伊勢神宮を含め伊勢志摩のことは知られていないので、共通言語でもある『写真』を通して情報発信しなければいけないと思った」と話す。「中国人向けに発信された日本のガイドブックには間違った翻訳や本質を伝えていないものばかり。伊勢神宮や日本人の心を伝えるには、地域に根ざした人々の絆や文化をもっと知る必要がある。日中の架け橋になれれば。将来的には、中国でも写真展を開催し、伊勢神宮や伊勢志摩のことをたくさんの人に伝えたい」とも。
開催時間は9時~20時。入場無料。今月27日まで。