台風4号が日本列島を席巻した6月20日の早朝、二見興玉神社(伊勢市二見町)の夫婦岩の間に見える水平線の上に漂う雲の割れ目から、オレンジ色に輝く朝日が現れた。しかし、鳥居の役割となるはずの5本のしめ縄はなかった。
しめ縄は1本約35メートル、重さ約40キロ、太さ10センチ。毎年5月5日、9月5日と12月の3回「大注連縄張(おおしめなわはり)神事」で5本のしめ縄が束ねられて新しく張り替えられる。過去にも台風による高波などの影響でしめ縄が切れることがあり、その都度、新しいもの2~3本を張り替えてきた。夫婦岩は、男岩と女岩の岩にしめ縄を渡して鳥居の役割を果たしている。
同神社職員は「台風が接近した19日の満潮時に風と波によって5本全てが切断。翌日の21日には約300人が参加する『夏至祭』が執り行われるが、同祭を前にしてしめ縄が切れることは初めて。」と話す。「夏至祭で鳥居がないのは忍びないので台風5号の接近もあるが、真新しいしめ縄3本を張り替えた。真新しいしめ縄で夏至祭参加者をお迎えしたい」とも。
21日は、太陽が最も北寄り(左側)の位置から現れる夏至。同神社では毎年3時30分から「夏至祭」を斎行し、日の出予定時刻の4時40分に夫婦岩の前の海に漬かり、みそぎを行う。昨年は東日本大震災後の復興への思いが一つになってか奇跡的に朝日が現れ、さらに約200キロ離れた富士山も重なった。