伊勢神宮内宮の五十鈴川に架かる宇治橋の正面、2つの鳥居を結ぶ一直線上を冬至の日の12月21日早朝、太陽の光が突き抜けた。
冬至の日は1年で最も日が短く、この日を境に日が長くなることから中国の古書「易経」には「一陽来復(いちようらいふく)」と記され、「悪いことが重なっても再び良くなっていく」「どん底から上昇していく」と考えられ、好転の兆し、人々の心の起点となっている。伊勢神宮内宮の宇治橋と鳥居の中央から朝日が昇るのは冬至を挟む前後2カ月間。
宇治橋前からは正面に島路山が横たわるため、日の出時刻よりも約40分後に太陽が現れる。7時37分、宇治橋の守護神「饗土橋姫(あえどはしひめ)神社」に光が差した。その7分後、宇治橋前の大鳥居の中に太陽の光が入ると、見入っていた約500人の観衆からは「すごい~きれい」「感動的~」などの言葉が漏れた。デジカメや携帯カメラを持つ人は思い思いに撮影を始め、中には「昔の人は冬至の日に宇治橋の正面から朝日が出るように計算したのかな?」と不思議がる人もいた。
昨年の冬至の日は曇り空だったため太陽が現れなかったが、今年はうっすらと雲があったものの光が差し、周囲は暖かい光の中に包まれた。
伊勢市観光協会は、内宮駐車場に設置したテントで「冬至ぜんざい」を無料で振る舞い、ユズも無料配布した。