20年に一度、伊勢神宮の全ての社殿を建て替え、装束、神宝などを新たに造り替える「式年遷宮」の一連の行事の一つで、神領民と呼ぶ伊勢の住民らが新しい正殿の敷地に「白石」を敷き詰め奉献する「お白石持ち行事」が7月26日、伊勢神宮周辺で始まった。
新しい正殿の敷地に「白石」を敷き詰め奉献する「お白石持ち行事」
式年遷宮は、1300年もの歴史を持ち、さまざまな儀式や匠(たくみ)による伝統の技が受け継がれている。式年遷宮行事のクライマックスとなる神々にお遷(うつ)りを願う行事「遷御(せんぎょ)の儀」が天皇陛下より、内宮(ないくう)が10月2日、外宮(げくう)が同5日に決定された。
お白石持ち行事は、1462(寛正3)年の第40回式年遷宮から始まったとされ、伊勢を流れる宮川で拾い集めた石英系の白い石「白石」を奉曳車や木そりに乗せ、沿道や川を練りながら神域まで運び(遷宮後は立ち入ることができない)、新しい正殿の敷地に敷き詰める行事をいう。1993年の前回には約20万人が参加したが今回はそれを上回る23万人が参加する予定。
この日は五十鈴川を白石を積んだそりで引っ張る「川曳(かわびき)」が行われ、内宮神苑まで運ぶと一人一人が白い布で大切に包んで新御敷地まで持参した。正殿の中に入ると「わー」「すごいきれい」などと歓声が上がっていた。
生後7カ月、宇治出身の小林諒大(あさひ)くんは両親に抱かれながら参加した。母親は「この子が20歳になったときに今日の日を覚えているのか? 元気に育ってほしい」とコメントした。名古屋から参加した夫婦は「白石を奉献できてただただ有り難く感じた」と感慨深げだった。
同行事は、内宮への奉献が8月12日まで、外宮が8月17日~9月1日の期間実施される。