伊勢神宮125社中、最も新しい宮「倭姫宮(やまとひめのみや・やまとひめぐう)」(伊勢市楠部町)で6月1日、式年遷宮行事「立柱祭(りっちゅうさい)」「上棟祭(じょうとうさい)」が執り行われた。
20年に一度神宝や社殿などを新しくする式年遷宮。昨年10月に内宮(ないくう)と外宮(げくう)でそれぞれ神様が旧宮から新宮に遷(うつ)るいわゆる「神様のお引っ越し」が行われて「伊勢神宮の遷宮は終わった」と一般的には思われているが、実はまだまだ続いている。現在14ある別宮の内の12の別宮が対象となっている(内宮の「荒祭宮(あらまつりのみや)」と外宮の「多賀宮(たかのみや)」は昨年完成)。
倭姫宮は、伊勢神宮125社の中で最も新しい宮。1923(大正12)年11月5日に鎮座祭が執り行われ今年鎮座92年目、天照大神(あまてらすおおみかみ)を祭る安住の地を求めて全国を旅し、今の伊勢神宮のある伊勢の地に神宮を建てた倭姫命(やまとひめのみこと)を祭る。倭姫命は第11代垂仁天皇の皇女で、神嘗祭(かんなめさい)をはじめ伊勢神宮で執り行われる年中の祭りや神田、神社の場所などを定め、今の伊勢神宮の基礎を創った。
立柱祭は、正殿を支える御柱(みはしら)を立てる祭典で、小工(こだくみ)と呼ばれる宮大工4人が10本の御柱の木口を木づちで打ち固める。上棟祭は、屋根の一番高いところの棟木(むなぎ)を組み終わる時に神職らが棟木から垂らされた2本の白い布綱に手を掛け、小工が屋根の上から「千歳棟(せんざいとう)、万歳棟(まんざいとう)、曳々億棟(えいえいおくとう)」と唱(とな)え木づちで棟木を打ち固め「棟や梁(はり)が緩まないように、動かないように」と祈願する。
当日は快晴に恵まれ、祭典は滞りなく行われた。20年前の同祭典時は大雨だったという。同宮は、この後造営作業を続け7月15日に屋根にかやをふく最初の祭典「檐付祭(のきつけさい)」、9月5日に屋根が完成し最後の金物を取り付ける祭典「甍祭(いらかさい)」を行う。