鳥羽港で8月18日夕方、日本最大のクルーズ船「飛鳥II」が、赤いハンカチを振る海女らに見送られながら寄港地の横浜を目指し出港した。
「赤いハンカチ」は、 鳥羽市出身で世界中の人が「真珠王」と認めた御木本幸吉がかつて渡米する際に、ステッキの先に赤いハンカチを巻き付けて振ったことにちなむ。鳥羽港では毎回、クルーズ客船の出港時に市民参加で究極のおもてなしセレモニー「リメンバー赤いハンカチ」を行っている。チャーター船で客船に並走し赤いハンカチを振って見送る鳥羽スタイルだ。鳥羽市観光協会は毎回、見送り用の赤いハンカチ配布やチャーター船準備などを行い、市民は無料で乗船することができる。
「飛鳥II」は、熊野市の海上で行われる熊野大花火大会を遊覧し、翌日に伊勢神宮などを巡る4泊5日のクルーズツアー「鳥羽・熊野大花火クルーズ」の客を乗せた船。15日に横浜を出港し16日に清水港を経て17日の夜に花火大会、翌日の18日に鳥羽港で錨泊(びょうはく)、伊勢神宮などを巡るオプショナルツアーに参加し、その日の夕方鳥羽を出発し20日に横浜に帰港する。
同船は、総トン数=5万142トン、全長=241メートル、全幅=29.6メートル、航海速力=最高21ノット、客室数=436室、乗船客定員=872人、乗組員数=約500人、運営は「郵船クルーズ」(横浜市)。 今回は853人が乗船し、伊勢神宮を巡るオプショナルツアーには大型バス13台、約400人が参加した。
海女たちは、同市相差(おうさつ)で海女小屋体験などができる「海女小屋はちまんかまど」のスタッフとして働く女性たち。海女たちはデッキに出てきた乗客らに感謝の気持ちを込めて優しく手を振った。山口百恵さんの名曲「いい日旅立ち」や尾崎紀世彦さんの「また逢う日まで」「蛍のひかり」などの曲をトランペットで演奏し飛鳥の乗客に届けると、乗客はそれに応えるように赤いハンカチを大きく振り返した。
郵船クルーズ広報担当者は「鳥羽港への錨泊は伊勢神宮に近いなどとても評判がよく、今回の鳥羽港への寄港も初代飛鳥の1992年1月9日から数えて32回目になる。地方の港としてはかなり多い回数になる」と話す。
10月26日には「にっぽん丸」(商船三井客船)が鳥羽港に寄港する予定。