伊勢神宮の遙宮(とおのみや)と呼ばれる「瀧原宮(たきはらのみや)」(度会郡大紀町)の「瀧原宮」と「瀧原竝宮(たきはらならびのみや)」両宮と「伊雑宮(いざわのみや)」(志摩市磯部町)で神様のお引越し「遷御の儀」が執り行われた。
20年に一度、社殿や神宝などを新しくする式年遷宮が行われている伊勢神宮。伊勢神宮内宮(ないくう)の別宮にあたる3宮には、内宮正宮に祭られている天照大御神(あまてらすおおみかみ)の御魂(みたま)「天照坐皇大御神御魂(あまてらしますすめおおみかみのみたま)」が祭られている。瀧原宮の両宮では11月7日に、伊雑宮では11月28日にそれぞれ「遷御の儀」が執り行われた。
内宮正宮と瀧原宮までの距離は直線で約30キロ、伊雑宮までは約11キロあることが遙宮と言われるゆえん。自動車がなく道路が整備されていない時代には、神職らは内宮から険しい山を何度も超えてたどり着いた後、遷宮行事に臨んだという。
同7日は、台風20号の上陸が心配されたが台風が太平洋沖に進路を取ったため快晴となり、満月の月明かりに照らされた新宮が美しく輝き、幻想的な空気の中遷御の儀が執り行われた。
同28日は不安定な天気だったため祭典が始まる前の数時間雨が降ったが、遷御の儀が始まる前には止み星空輝く最高の天気となった。浄闇(じょうあん)の静けさの中で伊雑宮の森に住むフクロウが「ホーホー、ホッホホー」と遷御の儀を祝福するかのように何度も鳴いていた。
残す別宮の遷御の儀は、5宮で以下の通り。12月3日「風日祈宮」、12月10日「倭姫宮」、2015年1月28日「土宮」、2月28日「月夜見宮」、3月15日「風宮」。